あなたの財布の中にも?市中に出回る「謎の千円札」は何を警告しているのか。印字された経済崩壊、食糧危機、グレートリセット…

2024.03.14
by gyouza(まぐまぐ編集部)
Main,Focus,On,1000,Yen,Banknote,Which,Are,Held,In
 

あなたはこんな「謎の千円札」を手にしたことがあるだろうか?

2023年7月頃から市中で流通し、SNSでも報告が相次いでいる1000円紙幣で、「2024年までに食糧備蓄をしてください。」「経済崩壊78年周期はグレートリセットのため意図的に実行されます。」という”警告メッセージ“が印字されている。

このお札の発見報告は今なお続いており、かなりの枚数が“製造”されたものと見られる。

悪質なイタズラか? 何らかの社会実験か? あるいは本当に世界的な危機が迫っているのか? 我々MAG2NEWS特異現象捜査部が、ノー残業デーに無理のない範囲で徹底調査してみた。

「経済崩壊78年周期」が意味するもの

そもそも「経済崩壊78年周期」とは一体何なのか? この紙幣は、その脅威に備えるべく食糧備蓄をせよと警告している。

「周期」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、経済学における景気循環説だ。ただ、最も期間が長い「コンドラチェフの波」でも50~60年サイクルとされており、「78年周期」とは干支一回り以上の差がある。

そこで、このお札が警告する「2024年」の「78年前」を見てみると、ズバリ1946(昭和21)年。日本が太平洋戦争敗北による食糧不足とハイパーインフレに苦しみ、預金封鎖と新円切り替えを実施した時期にあたる。

謎の千円札は、世界全体ではなく日本発の危機を警告している? あるいは「山本五十六はアメリカのスパイだった」的なことを言いたいのだろうか。

さらに、1946年の78年前と言えば1868年(明治元年)、前年10月には人はむな(1867)しき「大政奉還」があった。薩摩藩の西郷隆盛は大英帝国に操られていた的なことを主張しているのか――。

紙幣の“製造者”の真意はともかく、日本が約78年ごとに「とんでもねぇ話だなぁこれぇ!?」と叫びたくなる大転換期を経験しているのは歴史的事実だ。

実際、この「78年周期」や、それに近い「80年周期」は、書籍『日本人はなぜ破局への道をたどるのか ~日本近現代史を支配する「78年周期法則」』 (ワニブックスPLUS新書)やネット記事『日本は80年周期の大変動、世界的にも「幕末」か』(日経ビジネス)などで、経済の専門家もわりと真面目に議論しているようだ。

ただ、さらに78年前の1789~1790年となると、海の向こうでフランス革命があったものの、日本で大きな事件は起こっていない。誤差を考慮しても、衝撃事件と言えるのは1791年「江戸銭湯で男女混浴禁止」くらいだ。

間もなく起こる「グレートリセット」とは何なのか?

では、お札に書かれていた「グレートリセット」とは何なのだろうか? 

「グレートリセット」とは、もともと2020年6月に開催された世界経済フォーラム(WEF)の第50回年次総会の名称であり、この会議で新型コロナ感染拡大からの復興や持続可能社会を実現するための発表があったことから、転じて「現在の社会を構成する金融や社会経済などのさまざまなシステムを一度すべてリセットし、再構築すること」という意味で使われている。

つまり、「グレートリセット」は本来、単なる会議の名前であり、実際に「社会をリセットする」具体的な計画があるわけではない。

それにもかかわらず「陰謀論者」界隈では違う解釈がなされている。この陰謀論は、世界を支配する少数の富裕層が、われわれ庶民に知らせていない計画を実行しようとしている、という考えに基づいている。

彼らによると、世界を支配する少数の富裕層が「グレートリセット」と称して、

  • 世界経済を支配するために「新型コロナのパンデミック」を意図的に起こした
  • 世界経済フォーラム(WEF)が、このパンデミックを利用し、世界を支配する「新世界秩序」を構築しようとしている

と主張している。これは、主にアメリカの極右派や保守派の人々が流布したものと言われており、現在も信じて疑わない者が多いという。

日本の陰謀論者の間では、国の財政破綻によるハイパーインフレ、銀行の預金封鎖、新円を発行して通貨単位を切り下げる「デノミネーション」などの可能性まで囁かれており、多くの国民が大混乱に陥るとされる。

陰謀論に詳しい40代の元雑誌編集者は、グレートリセットに関する陰謀論について次のように指摘する。

「預金封鎖などの噂は、コロナ以前の3.11前後あたりからたびたびネット上で流布されてきました。中には、影の支配者たちが核戦争を起こし、彼らは逃げ道として<地下都市>を作っていて、そこに避難しているというものまでありました。もしも本当にハイパーインフレが起きたら、コーヒー1杯1000円の喫茶店で腹を立てている場合じゃなく、財布どころか旅行用カート持参でスタバに行かなければならなくなってしまいます」

こうした噂についての真偽は不明ながら、今年に切り替わる「新紙幣」のデザインがダサすぎるのは動かせない事実だ。日銀は本気であれを日々のお買い物に使えというのか?折からの円安と値上げラッシュに苦しんでいる庶民にとって、これはさすがにあんまりな仕打ちだ。

世界は「食料備蓄」ブームに沸いている

グレートリセット系の陰謀論では、食糧危機やエネルギー不足、感染症パニックなども「闇の支配層」などによって意図的に引き起こされる、と解釈されている。

すでに、アメリカでは「プレッパー」なる人々が存在し、自然災害や経済恐慌などで発生するカタストロフィに対処するため、生存術や物資の備蓄、避難訓練などに日常的に取り組んでいるという。

いつ起こるかわからない食糧難に備えて、早くも食料備蓄をはじめている人が世界中で出現しているのは事実のようだ。

【関連】富士五湖震源の“嫌な揺れ”で「富士山の大噴火」に備えはじめた人たち。心配しすぎ?必要な備え?プレッパーでなくても気になる「噴火Xデーの想定被害」

食料自給率に詳しいジャーナリストの高野孟氏によれば、日本の農水省は1999年制定の現行基本法で前面に掲げていた「食料自給率の向上の看板をこっそり降ろしはじめており、できればこの言葉を国民に忘れてもらいたいかのごとき態度を示してきたという。食糧危機が起きても、もはや日本政府を頼れなくなってきている現実は受け入れざるを得ないのが現状だ。

【関連】有事に日本国民は餓死する。農水省がコッソリ降ろした「食料自給率向上」の看板

陰謀論はともかく災害大国日本において、ある程度の備蓄は必要不可欠と言えるだろう。ただしあまりにも食料を買い込みすぎて腐らせてしまったり、酒類ばかりを備蓄したりすると、記者の家庭では妻や娘からの当たりがキツくなる。その点はくれぐれも注意したい。

「謎の千円札」警告文は謎のまま?

硬貨の改造や破損は法に触れるが、紙幣への落書きについては対応する法律が未だ整備されておらず、罰せられる可能性は低いのが現状である。

お札の落書きといえば、よく競馬の買い目の予想が赤いペンなどで書かれた千円札を見かけることもある。

こうした微笑ましい(?)落書きなら別段気にならないのだが、陰謀論めいた文言が記載されているとなると、ことは穏やかではない。

MAG2NEWS特異現象捜査部では、今後もこの「謎の千円札」問題をさらに追いかけていく予定だ。有力な情報があれば、ぜひ編集部までご一報いただきたい。

print
いま読まれてます

  • あなたの財布の中にも?市中に出回る「謎の千円札」は何を警告しているのか。印字された経済崩壊、食糧危機、グレートリセット…
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け