富士五湖震源の“嫌な揺れ”で「富士山の大噴火」に備えはじめた人たち。心配しすぎ?必要な備え?プレッパーでなくても気になる「噴火Xデーの想定被害」

2024.03.07
by kousei_saho
View,Of,Tokyo,City,With,Mount,Fuji,In,The,Background
 

7日午前5時40分頃に発生した、山梨県東部富士五湖を震源とするM3.6、深さ20km、最大震度2の地震。山梨以外に群馬、埼玉、東京、神奈川、長野、静岡でも揺れを観測した。揺れは震度2と決して大きなものではないが、問題は震源が富士山のすぐふもと富士五湖である点だ。

気象庁 地震情報

気象庁 地震情報

これにネットユーザーが即反応。「富士山噴火?」「とうとう出たね。。。」「首都直下と富士山噴火と南海トラフ3連動なら日本終了」など、この地震から“富士山噴火”を連想する人が多数見られた。しかし言うまでもなく、今回の地震が富士山噴火の前兆という根拠はどこにもなく気象庁も現時点でそのような情報を発表する様子はない

このような状況下で浮上してくるのが、地震を巡る不確かな“予言”。数々の予言を的中させたとするインドの男性預言者が、「24年4月までは特に日本で大きな地震が起きる可能性が高い」と予言しているが、科学的証拠などまったくなく、ましてや富士山噴火の根拠にもならない。ちなみにこの男性、「23年の10月28日から30日の間に日本で大地震が起こる」というピンポイント予言は見事に外している。

しかし、歴とした火山である富士山の噴火が“絵空事”かといえば、それはNOだ。今回の地震に関係なく、噴火はいつあってもおかしくない。そのような状況にあって、私たちが事前にできる準備はないのだろうか。

世界で増殖する「プレッパー」と呼ばれる人々

防災に関する記事を多く作成してきたというネットニュースサイトの40代男性デスクによると、「プレッパー」なる人々が存在するという。ウィキペディアによると、「自然災害や経済恐慌などで発生するカタストロフィに対処するため、生存術や物資の備蓄、避難訓練などに日常的に取り組んでいる人」で、その名称は「『prepare(準備する、備える)』に由来し『備える人』を意味」しており、「自力で生き延びることを信条としている」という。

「私がプレッパーについて調べた際にたどり着いた記事には、『世界はゾンビの集団に襲われて滅亡する可能性があり、彼らの襲撃に備えて食料や武器を備蓄している』というプレッパーが紹介されていました。『それくらいの準備をしておけば大抵のことに対応できる』と話していたのが印象的でしたね」(ネットニュースサイトの40代男性デスク)

アメリカだけをとってみても数百万人のプレッパーがいるとされるが、中には自宅の地下に核シェルターを作る、自給自足生活を可能にするために農場や牧場を所有する、インストラクターに銃の扱いを学ぶという“ヘビー”なタイプもいるという。国土が広く銃の保有が認められているアメリカならではといったところだろうか。

【関連】第三次世界大戦に本気で備える「プレッパー」たちを知っていますか

当方でも調べてみたところ、アメリカでは「PrepperCon」なるイベントも開かれていたこともあり、銃などに並んで湯沸かし器や園芸用品が展示され、バーチャルの銃撃戦や台風などの災害体験もできたという。

そんなプレッパー、日本でも珍しい存在ではなくなっていると、50代のテレビ関係者は話す。

「中部地方の放送局さんなんですが、22年の段階で『プチ・プレッパー』として“防災主婦”なる方を情報番組で紹介しています。700リットル分の水や大量の缶詰などの食料などを備蓄していて、水も電気も使わずに自宅にあるものだけで被災生活体験もしているとのことでした。きっかけは東日本大震災だったと話していましたね」

さらにそのテレビ関係者によると、コロナ流行時に水や食料の備蓄やカセットコンロを買い込みそのままの状態をキープしているという家庭も多いとのことなので、そういった意味では日本でも、「プレッパー」という単語やスタイルも普及中とも言えるだろう。事実、「備蓄系ユーチューバー」と呼ばれる人々も増加しているという。

首都東京を機能不全に陥らせる富士山の噴火

では、富士山の噴火が実際に起きた場合、中部地方や関東周辺はどれだけの被害が想定されるのか。前出のネットニュースサイトの男性デスクは話す。

「内閣府は富士山ハザードマップを公表していますが、1707年の宝永噴火以来300年以上も沈黙している富士山がいざ噴火した場合の被害は甚大です」

【関連】富士山ハザードマップについて(内閣府防災情報)

「中でも衝撃的なのは、ハザードマップの7ページ目にある『応永噴火の降灰分布図』で、富士山周辺では3m、東京都心でも0.5~8cmの灰が降ったとされています」(同前)

富士山噴火を扱ったこちらの記事によれば、大量の火山灰は上空20kmまで吹き上げられ、風に流され広がってゆき、噴火数時間後には東京に到達。道路は灰がつもり通行止めとなり空港は閉鎖され、鉄道もストップし首都機能は麻痺するという。

「たった8cm」と思う向きもいるだろうが、首都を完全に機能不全に陥らせるには十分な降灰なのだ。さらに上掲の内閣府による富士山ハザードマップの8ページ目には、宝永噴火と同じ規模の噴火が発生した場合、「噴火中の降雨等の状況や噴火後の河川の出水等の状況により約1兆22,000億円~約2兆5,000億円規模の被害総額も予測されるとの記載もある。

【関連】富士山ハザードマップについて(内閣府防災情報)

あまりに甚大に過ぎる被害だ。

「プレッパーではない人々」の備えとサバイバルマニアのお勧め

このような状況下で、現在「プレッパー」ではない一般の国民は今、どのような備えをしているのか。ネット上にはこんな書き込みがあった。

《水がヤバそうだから風呂のお湯は洗う直前まで張ったままにしてる》

《小型ソーラーパネル買ってあるけど、灰で太陽が隠れたらアウトか》

《ホムセンで売ってた持ち出し袋はある。でも何が入ってるか確認してない》

中にはこんなポストも。

《ヤバいかなとは思うけどとくに何もしてない。東京は首都なんだし国が威信をかけてすぐに復旧させると信じてるし》

一方、サバイバルマニアによる揃えるべき防災グッズを投稿したポストもある。

《灰から実を守るために使い捨ての防塵マスクとゴーグルがあれば心強い》

《普通のミネラルウォーターではなく災害備蓄用の水なら5年保存できる》

《LEDランプがついてる大容量のモバイルバッテリーは予備照明としても使えるからおすすめかな》

前述のように、気象庁は現時点で今回の地震と富士山の噴火との関連性について発表はしていない。しかし富士山が火山である以上、いつ噴火してもおかしくはないのも事実だ。その被害想定を頭に入れ、日本版プレッパーのような生活を試みてみるのも悪くはないのかもしれない。

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