バイデン氏とトランプ氏の一騎打ちがほぼ確実となった、今年11月に行われるアメリカ大統領選挙。しかしその報道において、「印象操作」に近いものが行われているようです。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、米人権派マスコミや日本メディアが正しく報じないトランプ氏の発言にフォーカス。意図的とも言うべき「移民問題」に関する伝えられ方について疑問を呈しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです
「不法移民」は不適切な言葉?
3月6日のスーパーチューズデー、共和党の大統領候補選、トランプ氏の圧勝でした。
日本ではここに至っても「なぜトランプ?」といった報道が多いようです。
最初からトランプ支持者の最大の理由は国境問題です。
以下、彼のメインの主張です。
- 合法移民はよい。しかし不法移民を許してはならない
- 不法入国しようとして失敗した人の難民申請を許して釈放してはならない(キャッチアンドリリース制度)。難民申請するなら最初から国境検問所に来るべきだ
- 不法移民にまで宿泊施設の提供をしているニューヨークや他のサンクチュアリシティ(聖域都市)は、不法移民の流入を促進している
トランプを支持する私の友人は、そろって「トランプが言っている事はコモンセンス(常識)だ。」と言います。
しかし、この分かりやすい主張を詳しく報道する日本のTVを見たことがありません。8年前からです。Qアノンや陰謀論に騙されるアメリカ人といった報道ばかりです。
トランプのメインの主張部分をカットしているのです。
もう一つ、報道を分かりにくい要因として言葉の問題があります。
「不法移民」という言葉の代わりに単に「移民」という言葉を使って報道される事がしばしばあるのです。
これについて最近も論争がありました。
3月9日NYタイムズの記事をみて見ましょう。
バイデン大統領、滞在許可証をもたない移民を「不法」と呼んだことへの後悔を表明
バイデン大統領は土曜日、ジョージア州で起きた22歳の看護学生殺害事件で起訴された不法移民を「不法」という言葉で表現したことについて遺憾の意を表明した。
不適切な表現であったという進歩的な批評家たちの意見に同意した。
「“不法”という言葉は使うべきではなかった。“滞在許可証をもたない”だ」
バイデン氏は土曜日、MSNBCのインタビューの中で答えた。
解説
米国の民主党の進歩派(Progressive)の中には「不法移民」という言葉に大きな反感を持つ人がいます。
それで、このように大統領をつるし上げます。で、バイデン大統領が謝ったりしているのです。
人権派の大手マスコミ報道もしばしばこれに同調しています。
それでトランプが「不法移民を許してはダメだ」と言っているのを、単に「移民を許してはダメだ」と言った、と報道するのです。
日本でも同じです。例えば、以下は毎日新聞のオンライン記事(3月1日)の抜粋です。
トランプ氏は演説で、移民について「彼らはテロリストだ」などと主張。不法移民による殺人や性暴力事件が起きていると述べ「米国はバイデンによって、移民の犯罪であふれている」と批判した。
● バイデン氏、不法移民対策でトランプ氏に協力要請 国境地帯を視察
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