NHK大河ドラマ『光る君へ』で直秀役を好演した俳優の毎熊克哉さん(36歳)。ドラマ内で直秀が非業の死を遂げたことで、“直秀ロス”“毎熊ロス”に悲しむファンが増殖していますが、これが毎熊さん大躍進の原動力になると予想するのは、芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんです。芋澤さんによると、今回視聴者に衝撃を与えた“直秀ロス”と、過去の有名な“ロス”には、決して偶然とは思えない「奇妙な一致」があるようで…!?
毎熊克哉が“大化け” NHK大河ドラマ『光る君へ』
『週刊文春』が、NHK大河ドラマ『光る君へ』で、散楽一座の一員で義賊という裏の顔をも持つ“直秀”が非業の死を遂げたことで“直秀ロス”、“毎熊克哉ロス”が起きていると報じています。
私が芸能記者の駆け出しの頃には“〇〇ロス”なんていう言い方はありませんでした。誰が言い出したのでしょうか、2013年4月からスタートした朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の放送終了から“あまちゃんロス”とか“あまロス”なんて使われ方をしたように憶えていますけれど。
私が人生なんて何が起こるかわからないと改めて感じたのは毎熊。2020年1月期の連続ドラマ『恋はつづくよどこまでも』で佐藤健の同期の医者役というオイシイ役どころを演じてはいたものの、この時は毎熊が視聴者にはスルーされていたという事実でした。
誰にでも優しく気遣いのできる、ナースたちからも信頼される循環器内科医という、女性なら誰もが憧れるような配役設定だったのに当時それほど話題にならず…。
一方で今回、ストリートパフォーマーかと思いきや盗賊でもあったという薄汚れた謎の男役で視聴者のハートを鷲掴みにしたというのですから不思議です。毎熊はいわゆる“はまり役”に巡り会えたのでしょうね。
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あなたは分かりますか?“直秀ロス”“五代ロス”“政次ロス”の共通点
“〇〇ロス”で私が真っ先に思い出すのは、2015年9月から放送されていた朝ドラ『あさが来た』の“五代ロス”です。
ディーン・フジオカ演じた五代友厚が亡くなるオンエア日の前後から、中高年女性層の視聴者たちが五代の延命を希望する嘆願書をNHKに送り届けたなんて逸話も伝説になりつつあります。
実際この努力が実り、五代の出演期間は1ヶ月ほど延びたと関係者から聞いたことを思い出します。女性たちの熱い思いが朝ドラのストーリーまでも変えてしまったわけです。
お陰で私は『あさが来た』から『ダメな私に恋してください』、『IQ246~華麗なる事件簿~』へと、しばらくディーンの取材にかかりっきりになったものです。
“〇〇ロス”ではもうひとり、2017年の『おんな城主直虎』で“政次ロス”と言われた小野政次を演じた高橋一生も思い出します。
大河ドラマ史上“最高のラブシーン”と言われた政次のラストシーンは視聴者はもちろん、高橋自身も“政次ロス”を引き起こしていたと、後のインタビューで語っていました。
「36歳の大躍進」が視聴者の“〇〇ロス”を引き起こしている!?
本当に不思議なことは、この3人が“〇〇ロス”という視聴者を引き込んでしまうほど注目された“はまり役”に巡り会ったのは全員36歳という事実です。
酸いも甘いも嚙み分けた、熟成された役者が引き寄せる何かの運みたいなものが36歳という年齢なのでしょうか…そういえば星野源も36歳を迎える直前に出演したのが『逃げるは恥だが役に立つ』であり『恋』、新垣結衣との共演でした(こじつけの様ですみません)。
原稿を書きながらそんなことを考えていると、ディーンがよく通ったという都内某所のエスニック・レストラン店内とか、雨に煙る東京・神宮前の坂道を長身の高橋が傘を差しながら歩いている姿が走馬灯のように頭の中を廻ってきました。
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今までの“知る人ぞ知る”毎熊克哉という役者が、『光る君へ』をきっかけにどんな道を歩いて行くのか…こんなチャンスを是非とも逃して欲しくないと思うばかりです。
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プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao
記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」
image by: 毎熊 克哉 MAIGUMA KATSUYA|アルファエージェンシー