先日、訃報が伝えられた「神の手を持つ男」として知られていた脳外科医の福島孝徳さん。脳外科手術を71歳の時点で年間600件もこなす彼のバイタリティはどこからきていたのでしょうか。今回、メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』が、福島氏の生前インタビューを紹介しています。
【追悼】「神の手を持つ男」福島孝徳氏は、なぜ世界一の脳外科医になったのか
神の手を持つ男と呼ばれる脳外科医・福島孝徳さんが2024年3月19日、アメリカで亡くなられました。81歳でした。弊誌にもたびたびご登場いただき、溢れんばかりのエネルギーで医の道に懸ける思いを語っていただきました。
福島さんのご冥福を心よりお祈りすると共に、弊誌に語っていただいたその外科医としての原点をご紹介します。
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〈福島〉
私は若い時からとにかく、日本一、世界一になりたかった。そのためには普通のことをやっていたらダメなんで、「人の2倍働く」「人の3倍努力する」という方針でやってきました。普通の人が寝ている間、休んでいる間に差をつけると。
そういう姿勢で若い頃から腕を磨いてきたんですけど、いま71歳(取材当時)になってみると、人生は短い。私に残された時間はもう少ない。だから、一刻も無駄にできないんです。
〈渡邉〉
いまは年間どのくらい手術をされているんですか?
〈福島〉
600回ですね。一番の盛りは三井記念病院にいた43歳の時で、900回はやっていました。
私は人間の年齢には暦の上の年齢と、生理学的な年齢の二つがあると思っているんです。私が本当に感心するのは、経団連の会長をされていた土光敏夫さん。80を過ぎても矍鑠としていましたよね。素晴らしい人でした。
で、いま世界でも、例えばモスクワの国立ブルデンコ脳神経センターというところは脳外科だけで2000床もあるんですが、ここの総帥がコノバロフという人で83歳のいまも毎日手術をしている。
〈渡邉〉
ああ、そうでしたか。それは凄い。