光線療法は「若年者のうつ病治療に追加しても利益はない」という研究結果

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季節性のうつ病に対して「光線療法」が有効であると言われてきましたが、今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』が紹介する論文では、若年者に対しては、その利益はないかもしれないという研究結果になっているようです。詳細を確認してみましょう。

うつ病の治療に追加した光線療法の効果

◎要約:『若年者のうつ病による入院患者に光線療法を追加しても、通常治療に追加できる利益はないかもしれない』

特に季節性のうつ病に対して輝度の高い光線を一定時間照射する「光線療法」が有効であると指摘されてきました。

今回は、比較的若年のうつ病による入院中に光線療法を追加した時の効果について調べた研究をご紹介します。

Bright Light Therapy as Add-On to Inpatient Treatment in Youth With Moderate to Severe Depression
A Randomized Clinical Trial
若年者のうつ病における入院治療に加えた光線療法

ドイツにおける研究で、12~18歳のうつ病による入院患者224人が対象となりました。

通常の治療に加えて、高輝度(10,000 lux)の光線を照射するグループと偽刺激(赤色光)を当てるグループに分けて、4週間の経過を観察しています。

結果として、以下の内容が示されました。

・元のうつ病尺度(BDI-2)の点数は37.3点で4週間後の平均は-7.5点で、全体的にうつの症状は改善を示していましたが、光線療法と偽刺激での違いは明らかのではありませんでした。

・試験期間中に10件の重篤な副作用がありましたが、光線療法との関連性は考えられませんでした。

今回は、対象者も特殊な集団(思春期の若年者で大学病院の入院患者)で、季節性との関連も不明で、光線療法が有効である条件としては難しい試験だった可能性も考えられました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

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