イランがイスラエルを報復攻撃。なぜイスラエルはイラン大使館空爆という“挑発”に出たのか?

 

アメリカとイスラエルは、「ある程度」のエスカレートを望む

イスラエルとその後ろにいるアメリカの目的は、何でしょうか?そう、イランの核兵器製造施設を破壊することです。これ、国連安保理で協議することができません。常任理事国で拒否権をもつ中国とロシアが反対するので、イラン制裁を科すことができないからです。北朝鮮も、ロシアと中国に守られて、核兵器を保有し、やりたい放題やっています。

アメリカは、「北朝鮮の失敗をイランで繰り返したくない」ので、「イラン核問題」を国連で協議しません。中国、ロシアも国連でイラン核問題を協議しません。自分からこの問題を提示すれば、イラン制裁に反対するのはおかしいでしょう。

というわけで、アメリカ、イスラエルは、どこかのタイミングでイラン本土の核兵器製造施設を攻撃したいのでしょう。今は、「その口実づくりが行われている」ように見えます。

とはいえ、アメリカは、「ウクライナ―ロシア戦争」「イスラエル―イラン戦争」「台湾―中国戦争」「韓国―北朝鮮戦争」の「四正面作戦」を望みません。イランに関しては、「核兵器製造施設だけ破壊して終わらせたい」ことでしょう。

問題は、ロシアや中国が、「大きな中東戦争」を望んでいることです。

なぜ?

ロシアの利益は?アメリカが中東戦争で忙しければ、アメリカはますますウクライナを支援できなくなるでしょう。

中国の利益は?アメリカは、ウクライナでロシアと戦い、中東でイランと戦えば、勝手に弱体化していくでしょう。

中国は、「三匹のトラ(アメリカ、ロシア、イラン)が戦うのを山の上で眺める賢いおサルさん」になることができます。これが、中国的には、「最上の戦略的ポジション」なのです。どうなっていくか、よく観察していましょう。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2024年4月14日号より一部抜粋)

image by: Mohasseyn / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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