中東戦争の裏事情
私が有料講座『パワーゲーム』で、「アメリカ、イスラエルとイランの戦争が年内(2023年)にはじまる可能性がある」と語ったのは、2023年8月です。実際にイスラエル対ハマス(黒幕はイラン)がはじまったのは、2023年10月でした。皆さんが今読んでおられるRPEで、この問題に触れたのは2023年9月19日付『★イランの核兵器保有と次の戦争が近づいている?』ででした。つまり、戦争がはじまる約20日前です。
【関連】“やぶ蛇”のトランプ。核兵器の開発意図なきイランを激怒させた代償
「後付けではない」ことが理解できるよう、一部転載してみましょう。
ここに、「アメリカ、イスラエル 対 イラン 戦争」の【 真因 】も書かれています。
イランがIAEAの査察を拒否しました。『日経新聞』(2023年)9月17日付。
<国際原子力機関(IAEA)は16日の声明で、イランからIAEAの一部査察官の受け入れを拒否すると通告があったことを明らかにした。
査察官はウラン濃縮などを検証している。グロッシ事務局長は「強く非難する」と述べ、査察に深刻な影響が出るとして再考を求めた。国際社会の懸念が一層強まるのは必至だ。>
この問題、少し振り返ってみましょう。
アメリカは、ウソの理由でイラク戦争をはじめた2003年頃から、「イランは核兵器を開発している!」と非難していました。
ネオコン・ブッシュ政権のアメリカは当時、「2016年までにアメリカ国内の石油が枯渇する」と信じていた。それで、資源がたっぷりある中東支配に動いていたのです。「イラクの次は、イランだ!」と(しかしその後、「シェール革命」が起こり、アメリカは世界一の産油国、産ガス国に浮上。中東の資源を確保する必要はなくなり、この地域への熱意は減りました)。
はっきりいってネオコン・ブッシュ政権の主張は、イラク戦争の開戦理由同様「大ウソ」でした。証拠もあります。『毎日新聞』2007年12月4日付。
<〈イラン核〉米が機密報告の一部公表 「脅威」を下方修正
[ワシントン笠原敏彦]マコネル米国家情報長官は3日、イラン核開発に関する最新の 機密報告書「国家情報評価」(NIE)の一部を公表し、イランが03年秋に核兵器開発計画を停止させたとの分析結果を明らかにした。>
さらに、『ロイター』2009年7月4日付。
<イランが核開発目指している証拠ない=IAEA次期事務局長
[ウィーン 3日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥次期事務局長は3日、イランが核兵器開発能力の取得を目指していることを示す確固たる証拠はみられないとの見解を示した。ロイターに対して述べた。天野氏は、イランが核兵器開発能力を持とうとしていると確信しているかとの問いに対し「IAEAの公的文書にはいかなる証拠もみられない」と答えた。>
ここからわかることは何でしょうか?
ブッシュ政権が2000年代、「イランは核兵器保有を目指している!」と非難していたのは、「ウソだった」ということです。
それで、リベラルなオバマが2015年7月、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国を巻き込んで「イラン核合意」を成立させました。これで、イランは制裁が解除され、石油が輸出できるようになった。イランは、そもそも核兵器を開発する気がなかったので、大いに喜びました。