田原総一朗氏「卒寿を祝う会」で思い出すテレビ朝日「サンプロ」出演拒否騒動

Minato, Tokyo, Japan-April 20, 2019: TV Asahi: Asahi Corporation is a Japanese television network with its headquarters in Roppongi, Minato, Tokyo.Minato, Tokyo, Japan-April 20, 2019: TV Asahi: Asahi Corporation is a Japanese television network with its headquarters in Roppongi, Minato, Tokyo.
 

4月15日に90歳、卒寿を迎えたジャーナリストの田原総一朗氏が集英社新書から『全身ジャーナリスト』を刊行。この著書に寄稿し、「卒寿を祝う出版記念会」ではスピーチもした評論家の佐高信氏は、過去に田原氏とモメた経験があるようです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、2005年9月、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」から出演取り止めを打診された経緯を紹介。司会者の田原氏の意向を丸呑みするテレビ局側の姿勢を「思い上がりを増長させた」と、厳しく批判しています。

田原総一朗の卒寿の祝いの会で

森喜朗や二階俊博も来ると田原自身から聞かされて驚いた田原総一朗の卒寿を祝う出版記念会が終わった。さすがに2人は途中で出席をやめたらしいが、元首相では小泉純一郎と菅直人が来た。その田原の『全身ジャーナリスト』(集英社新書)に「サンデープロジェクト」への私の出演の件でモメたことが書いてある。

2005年9月4日放送の「サンプロ」に社民党の応援団として出てほしいという要請が社民党からあり、その直前に『サンデー毎日』に田原批判を書いたばかりだったので、「ウーン」と唸った。やはり、顔を合わせたくはなかったからである。しかし、私情を抑えて承諾したが、9月3日の夜に長野から帰って来たら、翌朝に迫った「サンプロ」への私の出演に田原が難色を示しているという。

特にコラムの最後の3行の「夫人が死んだら自分も死ぬと言っていた田原に、夫人の友だちは、いつ後を追うのかと囁いているらしい」は名誉毀損になりかねず、サタカの顔も見たくないと怒っている旨を、テレビ朝日のディレクターから社民党に伝えられた。

ディレクターは、局の方から降りてくれとは言えないので党の方から言ってほしい、と信じられないことを付け加えたとか。局の主体性などまったくない。

田原は、絶交した人が絶交された人に会いに来るのはおかしいとも言ったらしいが、私は田原に会いに行くのではない。それがわからないほどに田原はエラくなっていた。その思い上がりをテレ朝は増長している。

田原に「それはおかしい」と伝えるのではなく、逆に、番組でトラブルが起こったら私を選んだ社民党にも責任があると口走ったというのだから、何をか言わんや。暴君の鼻息をうかがうディレクターの伝言を聞いて、私は激高した。

30年余のつきあいの田原が護憲から改憲に変わったと知って斬り捨てたが、いささか過激だったかなと思っていたら揺らめきも消えて、私は社民党の人間にこう電話した。すでに時計は4日の午前1時をまわっている。「ディレクターに『私を降ろしたら田原とテレビ朝日のいのち取りになるんだよ。それがわかっているのか』と伝えてくれ。もちろん、この経緯は『サンデー毎日』に書くつもりだ」。

『全身ジャーナリスト』によれば、この時、田原の娘が必死に田原を諫めたらしい。そして4日の朝の私の出演となったのだが、番組で田原と私は目を合わせなかった。あるいは、社民党だけ応援団欠席とならずに、結果的に田原とテレ朝を私が救ってしまったのかもしれない。

卒寿祝いの会には創価学会の副会長も来ていた。彼らを前に私は「田原さんはタブーを破ると言いながら学会には甘すぎる」とスピーチした。現在の政治の閉塞状況を破るには公明党を野党にするしかないからである。

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