テレビ制作現場に入り込む「インティマシー・コーディネーター」という存在
このようなテレビドラマの制作現場で、現在活動しはじめているのが、「インティマシー・コーディネーター」という職業だ。
名前を聞いても一体なにをするのかわかりんマシーという感じなのだが、「インティマシー」とは、親密さ、性的な領域のことなどを示し、テレビドラマや映画の撮影現場において、性的なシーンや肌を露出するシーンを演じる俳優と監督との間に入り、全員が演技について「同意」した状態で撮影に臨めるよう調整する職業なのだという。
発端は、2017年にアメリカの映画界で起きた「MeToo運動」だ。撮影現場では、男性の監督の権限が強く、特に若い女優が嫌な演技を断れないケースが多いために、第三者がガイドラインを作り、介入する仕組みを編み出したらしい。
アメリカにその資格を授与する認定機関があるとかで、日本にも、認定資格を受けたコーディネーターがいて、2021年ごろから映画やドラマ、舞台の制作現場に起用されはじめているのだそうだ。
実際に日本の撮影現場に入っているインティマシー・コーディネーターの女性が話す対談動画を見たが、事前に脚本を読んで、性的なシーンについて、逐一「このシーンはどういう意図があって存在するのか?」など監督に聞くらしい。
その上で、俳優に個別に面談して、どこまで触っていいか、どのぐらいの強さならいいか、心配事はないかを聞き取って擦り合わせを行い、女優が喘ぎ声を出すシーンなら、どのぐらいの声量の、どのぐらいの高さの、どのような発音をするのかまで事前に決めて、「同意したこと以外は本番でやらせない」ということを徹底するという。
撮影現場では、実際に演技をしながら「ちょっと違うなあ」「いいね、でも、もうちょっと抑えめに」など監督の要求に呼応しながら納得のいく演技を作り上げていくパターンが多いが、そういうやり方をやめさせて、「最初から全部決めといてくれよ」というわけだ。俳優の演技が下手だった場合、どうなるの? と思うが……。









