例えば、「会社」という存在です。欧米では、60歳を過ぎたら自由な人生を歩むのが当たり前という価値観が社会に浸透しているので、とっとと会社員を卒業し、次のフェーズに転換した人生をスタートします。
60歳になった途端、低賃金労働者として「在庫一掃セール」に出されることもありません。そのためにさまざまな働き方を国や会社で作り、シニアで働くにしても、自分のライフスタイルに合わせた働き方をその都度自分の都合で選択できる社会を実現しました。
さらに、多くの国では税金は累進課税がしっかりしてるので、富裕層の負担率が高いため老後の生活の心配は日本ほどありません。高齢者住居も介護のあり方も多様化しているのです。
一方、日本は最後の最後まで「会社員」。「会社」というコミュニティで居場所を得るために、不安定かつ低賃金の働かせ方を余儀なくされます。介護難民にならないためには、たくさんのお金が必要なので、低い賃金で働かされている人ほど、いつまでも働き続けなくてはならないという悪循環も生まれています。
数年前、老後は2,000万円必要と言われていましたが、最新の分析では「4,000万円」に倍増したとか。介護も問題山積だし、高齢者の貧困問題も年々深刻化しています。
持てるものが常に豊かで、持たざる者が常に貧しいかといえば、それはそう簡単なことではありません。しかし、今後は1人暮らしの世帯は一段と増え、2050年には65歳以上の一人暮らしが1,083万人と20年比47%増加すると予想されています。
私自身、うっかり“家族を作ることを忘れたまま”いいお年になってしまったので、孤独死は他人事ではないのですよね。
孤独死問題、もっともっと考えていかなきゃです。みなさんのご意見、お聞かせください。お待ちしております。
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