企業と当事者で見解に相違も。障がい者雇用や「合理的配慮」義務の課題

A young employee in a wheelchair checking the drawings on the desk
 

厚生労働省の2023年度の障害者雇用実態調査によると、全国の民間企業(従業員5人以上)で働く障害者は推計110万7千人で過去最多だった。内訳は身体障がい52万6千人、知的障がい27万5千人、精神障がい21万5千人、発達障がい9万1千人だった。統計の中での発達障がい者は10万人近いことも、発達障がいに対する拙速な解釈にもなっているのだろう。

荒井教授は「障害者は誰かからの『恩恵』や『善意』や『思いやり』の結果として社会で生きるわけではないし、『許容』や『許可』の範囲で社会参加するわけでもない」(同)とした上で、「障害者に対して『どのくらい丁寧に遇するか』ではない」(同)と諭す。

私たちは「どうしたら、このような『発想の転換』に至れるか」(同)が試されているのだという。その発想の転換の一助になるべく、みんなの大学校では毎週水曜日に発達心理学が専門の山本登志哉先生による「障がいと物語」との講義を開催している。

障がい当事者にこれまでの思いを語ってもらい、それを受講者が共有するところから、荒井教授が諭す「発想の転換」を探るものである。

もちろん、発想の転換は結果なので、それを目的にすることはないが、物語として障がい当事者の話をじっくり聴くことは、結果的に何らかの化学反応は必ずある。社会では、様々な視点から障がいが語られ始めている。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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