中国市場における苦戦が伝えられる日系自動車メーカー。しかしその情報は必ずしも正鵠を射ているものとは断言できないようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、現地サイトが配信した記事を取り上げるとともに、そこで明らかになった販売台数だけでは読み切れない日系企業の収益の変化を紹介しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:中国で苦戦の日系、真逆のデータ、収益性の落ち込みは一定程度
中国で苦戦の日系、真逆のデータ、収益性の落ち込みは一定程度
中国自動車情報サイト「盖世汽車」は自動車メーカーの収益性にスポットを当てて、記事を配信した。
もともとは、トヨタの最終利益はBYDの7倍、販売台数では3.3倍程度なのに、トヨタの収益力の源泉は、という切り口だったが、その中に欧米及び日系の各合弁の中国における収益のデータを掲載している。
それを見ると、中国で苦戦が伝わる日系だが、収益面での欧米各合弁の落ち込みよりはまだまし、という状況が見える。
あまり販売が伸びなくなっても、収益は確保する、というのは日系の十八番になってくる可能性がある。
外資合弁総崩れ?
「盖世汽車」では、欧米及び日系の各合弁の中国における収益のデータを示しつつ、「いずれも外資合弁は急激に収益力を落としつつある」と分析している。
対象となっているのは、上汽VW、上汽GMと、広汽ホンダ・広汽トヨタ(合算)、東風ホンダ、東風日産の各社だ。
「盖世汽車」は欧米の前者と日系の後者を別々にグラフ化していて、上記のような分析を導き出した。
間違ってはいないのだが、これら二つのグラフを合併すると、上汽VW、上汽GMの最終利益の急落には目を見張るものがある。
上汽VW収益崩壊
上汽VWは2018年、つまり一汽VWとともに中国最強を誇っていたころ、最終利益は実に280億元を超えた。
しかしそれ以降、5年連続減益、2023年の最終利益はわずかに31億元程度になった。つまり8分の1に縮小している。
ここまでではないが上汽GMも2023年は18年比、6分の1に縮小している。
一方で日系は、確かに多かれ少なかれ、2023年は減益となっている。
東風の日産とホンダ
例えば、販売不振がはなはだしい東風日産の場合、2018年には170億元を超えていた最終利益は23年、84億元弱にまで落ち込んでいる。
ほぼ半減だが、それでも欧米に比べると減り方は少ない。
東風ホンダの場合、2018年の最終利益は103億元程度、2023年は93.88億元と減益だが、今まで見た中では減り方は極めて少ないことがわかる。
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