韓国軍は、政府が決定すれば直ちに機動拡声器車両を軍事境界線(MDL)付近に配置するなど、対北朝鮮放送再開に向けたすべての準備を終えたという立場だ。
これと関連して、李ソンジュン合同参謀本部広報室長は同日、国防部定例ブリーフィングで「韓国軍は直ちに任務遂行ができるよう準備と態勢を整えている」と明らかにした。
それと共に「(対北朝鮮拡声器放送再開のために)解決しなければならない手続きについては政府機関間の議論があると聞いており、軍は任務が付与されれば施行するところ」と強調した。
対北朝鮮拡声器放送は1963年、朴正熙(パク・チョンヒ)政権時代に始まった。約40年間続いたが、2004年盧武鉉政府当時、南北軍事合意で中断された。
その後、李明博政府と朴槿恵政府の時、天安艦襲撃挑発(2010年)と地雷挑発(2015年)、北朝鮮の4回目の核実験(2016年)など、北朝鮮が強力な挑発を強行した時、一時的に再開されたことがある。
南北は2018年4月、「4・27板門店宣言」を通じて「MDL一帯の拡声器放送とビラ散布をはじめとするすべての敵対行為を中止する」と合意している。
その後、双方は関連施設をすべて撤収した。軍は2018年の撤去直前まで、最前方警戒部隊(GOP)一帯の前方地域約10か所に固定式・移動式拡声器約40台が設置・運用していた。
スピーカーで北に向けて放送するものだが、内容が金正恩体制の不正や首領様の生い立ちの秘密などにも触れるため金正恩が一番嫌がる対北工作の一つとされている。
南から北に飛ばすビラも、相当の打撃を与えていると伝えられている。北の民衆が金正恩の三代世襲によってローヤルファミリーだけが贅沢三昧をしており民衆は奴隷のようにこき使われている現実を大部分、知らずにいる中、ビラによってこういうことも赤裸々に暴露されているらしい。南からの拡声器攻勢とビラ飛ばし攻勢が金正恩の嫌がる2大攻勢と考えれている。
ちなみに「9・19南北軍事合意」というのはこれまでにもこのメルマガで何度か紹介しているが、大韓民国と北朝鮮が2018年(文在寅のとき)の第3回南北首脳会談で署名した軍事関連の合意のこと。お互い相手の嫌がることはしないといったことが明記されている。9月19日の平壌共同宣言の付属合意書だ。
しかし2023年11月23日、北朝鮮の一方的な全面廃棄宣言で合意は完全に無力化されている。すでに無力化されてはいるが、今回の内容の核心としては(南として)法的にも無力化されたという根拠を作ったということになるわけだ。
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