インバウンド客を取り込みたいなら知っておくべき「尺度」のインプット方法

 

アメリカ人なら誰でも、「1ポンドのステーキ肉」って言われたら、これくらいの大きさと厚さだなということが分かります。なぜならば、スーパーでは1ポンドの重さになるように、切り取られてパックされているからです。これをオトナのアメリカ人はひとりで食べるんです。(男性に限らず女性でも1ポンドをペロッと食べる人はいます)あの大きさと厚さが、アメリカ人がイメージする「肉を食べる」ということの量なんです。

そんな彼らが日本に来てステーキを食べると、単位の小ささ、細かさに驚くわけです。なに?100グラムってどれくらいの大きさ?えっ?1/4ポンドもないのか?それは幼稚園児が食べる量だぞってなるんですね。それが彼らが認識する世界なんです。彼らが肥満になるのは、ポンドという単位も影響していると思います。最小の単位が1ポンドなら、まずはそこを基準にモノを考えようとしますから、1ポンドは食べられる量だという価値観になるんです。

つまり度量衡によって習慣や価値観、そして文化が創られているんです。

ですから、同じことを尺貫法でもやったらどうなるかのか?というと、戦前以前の人の感覚を身に付けることができるんです。正確には尺貫法の廃止は1959年なので、それほど昔でもありません。私が子供の頃には、年寄りたちはみんな尺貫法でモノを語っていましたからね。

最近はD&Iという単語が良く使われるようになりました。これはDiversity(多様性)&Inclusion(包摂、受け入れること)の略なんですが、これをするには包摂しようとする人たちが使っている度量衡の感覚を持つ必要があると思うんですよ。なぜならば度量衡こそが人が自然に身に付けた感覚だからで、これを他の度量衡で上書きすることは、Inclusionとは真逆のことだからです。

つまりインバウンドビジネスに於いて、特にアメリカ人にはヤードポンドを基準にした商品やサービスの設計が必要だということです。これは単に単位を変換するのではありません。先ほどのステーキ肉の話なら、グラムで表示してオシマイではなく、肉の切り方をポンドに合わせて、1ポンド、ハーフポンドでカットするということです。

ビールなどは今でもパイントで出すパブがありますよね。あれなんかは、パイント用のグラスと、ミリリットル用のグラスの両方を用意したら良いだけですから。日本人はこういう細かさに対応できる民族だと思いますよ。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤しょ~おん 【発行周期】 平日刊

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