極めて“不適切”な2つの点。文科省「重大事態いじめのガイドライン」改定案を“いじめ探偵”が厳しく指摘

 

「重大事態いじめのガイドライン」に大きく足りない前提要素

「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(素案)に大きく足りない前提要素は、「学校」「教育委員会」私学の場合は「学校法人」までもその調査の対象に及ぶことがあるということだ。

この要素が足りないから、結果的に「予算問題」「人選の難しさ」を解消としようと安易な方法を推奨してもよいのではないかとなってしまっているのだ。

そしてその理由は、いじめ防止対策推進法成立の後、立法した国会議員が「ここまで教委が法律を守らないとは思わなかった」と口をそろえて言うほど隠ぺいや不正が横行し、法律施行後もあからさまに教職員が読む専門紙にいじめ防止対策推進法など守らないと豪語する校長がコラム執筆をするなどの反対運動が起きるなど、法律を守らない、ガイドラインを守らない問題があるからなのであり、本来は問題解決の要となり得る第三者委員会の設置権限が、法に依って「学校」と「学校の設置者」(公立では市教委、私学では学校法人)になっていることに尽きる。

つまり、法を守らないと反対している一部勢力がある学校や教委組織が第三者委員会の設置権者であり、その設置者が調査対象になりやすい傾向が鬼くそ強いという歪な立法問題がある。

だから、首長が再調査を指示することがあるのだし、いじめ問題の対応を教育委員会から分離する自治体もあるのだ。

実はこれを文科省関係者に話したところ、そんなことは当然わかっていると私は言われている。本来の意味でいじめに関わる環境を変えるには、いじめ防止対策推進法改正であり、この改正でより強化していかないと問題の打開の道はない。

今回のガイドラインの改訂は、パブリックコメントを募集して意見を取り入れるという。

前述の関係者は、被害側からの問題指摘については、今回の改定素案には本音では取り込まれていないことを薄々認めた上(被害関係団体は会議に参加していない)で、パブリックコメントを多くに被害者側から寄せて頂いてその意見を取り入れられればと考えている様子であった。

被害者及び保護者、関係する団体や専門家の皆さんは、特に本件パブリックコメント募集の際は、自らの意見をSNSに表明するのではなくきちんとパブリックコメントに送ってもらいたい。

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