極めて“不適切”な2つの点。文科省「重大事態いじめのガイドライン」改定案を“いじめ探偵”が厳しく指摘

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「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」とされる「重大事態いじめ」の定義。文部科学省は先日、このいじめ重大事態の調査に関するガイドラインの改定素案を公表し各メディアが大きく報じましたが、識者はこれをどう見たのでしょうか。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、「不適切と断定できる点がある」としてその部分を指摘。さらにこのままでの「改悪」を許さないために、いじめの被害当事者サイドが取るべき行動を提示しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:文科省、命にかかわる重大事態いじめのガイドライン改悪か?

黙っていればこのまま改悪?文科省が公表した「重大事態いじめのガイドライン」改定素案

6月19日、いじめ防止対策推進法に基づく「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」の改訂素案が公開されニュースとなった。

日常的に「重大事態いじめ」に対応している私にとっては、常に触れるガイドラインであり、不正や隠ぺいが頻発する環境下においては、被害者の拠り所ともなる重要なガイドラインである。

ちなみに「重大事態いじめ」とは、生命や財産などの被害といったまさにニュースになるような酷い被害が生じた疑いがある「いじめ」のことを指し、多くの場合は犯罪行為が確認されたり、著しい人権侵害行為が発生しているもののことだ。

当初のものは、平成29年3月版のもので、表紙を含めて18ページであった。簡素にまとめられており、読んだ印象としては、国がちゃんとやろうぜと言っているのに、なぜ隠蔽をするのだ、いい加減にしろというものであった。例えば、いじめの調査をしていないのに「いじめではない」と言ってはならないという内容が記載されていたりする。一方で、年間1,000件を超える相談や100件近い重大事態いじめの対応をする私からすれば、ガイドラインではやってはダメと具体例で示されている行為を学校が行っている率はかなり高い。

当然、自らの仕事に直結する僅か18ページのガイドラインに目を通していない教職員は存在しないであろうし、管理職ともなる校長副校長、指導や監督をする教委の職員が知らぬはずもないという前提から、率直に「日本語読めますか?」と質問してしまうのだが、浮き彫りとなるのは、読んでいない、知らないという率が圧倒的に高いのだ。

だから、はじめて重大事態いじめに関するガイドラインを見た教育側の職員は、自らの言動を事前に予見していたマジックショーを見るように、唖然として押し黙ってしまう。

一方で、知っていますという者は、わかっていながらダメだと書かれている行動をしているのだが、「ガイドラインはガイドライン、破っても罰はないし、法律ではない」と開き直るのだ。

「3.6倍のちゃんとやれ!」というメッセージか

さて、改定素案はといえば、そのページは表紙目次を含めると66枚もある。内容もかなり細かく分類されており、当初の18ページのものと比べれば、「3.6倍のちゃんとやれ!」というメッセージではないかと思われるほどだ。

ただし、文科省のホームページで公開されているとはいえ、探しづらい。ホームページ内の検索機能を使ってやっと多辿り着けたという印象だ。

念のため、リンクを貼っておく。

いじめ防止対策協議会(令和6年度)(第1回) 配付資料

特に被害当事者やその関係者の方は、本記事を読んだら、すぐに読んで、これはダメだというところをチェックし、以降予定されているパブリックコメントで指摘をしなければならない。

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