円安と物価高の影響で苦しい生活を強いられる日本国民。そんな状況改善にはあまりに無力と思わざるを得ない政治状況が続いているのも事実です。これ以上の経済悪化を食い止め我が国を再発展させるために、打つ手はあるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、大きな実効性が見込める具体策を複数提示。その上で、「日本の飛躍が次の世界秩序を作ることになる」との見通しを記しています
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ロシア、戦争をやめられず
円安の日本には安い政治システムが必要
先週、株価は1,400円の上昇になり、過去最高値を更新した。TOPIXも過去最高値を更新した。しかし、円安は161円まで上昇したが、米国で発表される雇用統計が弱い内容になり、週末には160円台の円高方向になっている。
この状態で7月末の日銀金融決定会合で、国債買入れを月6兆円から3兆円に減額して、10年国債金利を1.5%以上にするが、2%になったら、臨時の買い入れを行うようである。
もし、これでも金利が上昇しないなら、次には利上げということになるようだ。米国が9月に利下げしないなら、日銀は9月利上げの可能性が出てくる。同時であると、円安から突如円高になる可能性もある。20兆ドル以上の円キャリーで海外に流出しているが、その巻き戻しが起きれば、そうなる。
しかし、現在は円安のインフレで、国民生活基礎調査は「苦しい」が59.6%になり、前年比8ポイント余増になっている。5月家計調査でも実質消費で前年同月比1.8%減であり、「食料」は3.1%減、「教養娯楽」は8.4%減で、そのうちで「外国パック旅行費」が53.8%の減少になっているが、「教育」は9.3%増えた。
しかし、2人以上の勤労者世帯の実収入は50万231円で、実質3.0%増え、名目では6.4%増でした。春闘の賃上げ効果が出ている。
実質賃金が上昇しているので、個人消費が今後回復に向かえば、これまで大きく出遅れていた日本の消費関連株が年後半にかけて巻き返す可能性が高く、日本株は一段高になる予感がする。
そして、この株高で、公的年金GPIFは、23年度運用45兆円プラスで最高を更新した。株高で年金崩壊は、少し遠退いたようである。今後も運用益が出続けるようだ。
自民党の支持率が落ちているので、岸田首相が辞任しても、そう簡単に自民党への支持率が回復するはずもなく、隠れ増税路線に対しての国民の怒りがあり、この路線を変更しないと、支持率の上昇はない。
すでに、日本は、購買力平価GDPでは、G7各国、シンガポール、香港、台湾、韓国よりもGDPが低いという状況で、日本は中進国になっている。この状況を理解して、国作りを考えることだ。
一院制にして、かつ議員定数を削減して、官僚の負担を軽減するべきである。優秀な官僚を維持することの方が、議員を維持するより大切である。企画力が優れた官僚が国を作り、優れた議員は政策批判しかしない。安い政治システムが必要である。
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