退職した従業員が残していった「私物」は処分しても大丈夫なのか?

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退職した社員の私物を捨ててもいいのか?そんなお悩みが届いた無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社会保険労務士の飯田弘和さん。はたして現役社労士の答えは?

退職した従業員の私物の処分

「既に退職した従業員の私物が会社に置きっぱなしになっている。捨ててもいいものか?」といったご相談を受けました。

私物であれば、その所有権は退職した従業員にあります。(所有権って、かなり強い権利です。)そのため、会社が勝手に処分することはできません。

会社は、その私物を保管しておく義務があります。勝手に処分したならば、退職した従業員から損害賠償請求される可能性があります。

ちなみに、保管に要した費用は、その退職した従業員に請求することができます。また、保管の仕方ですが、自分の財産を保管するのと同じ程度の注意をもって保管すれば足りると考えられています。

勝手に処分できない以上、その従業員に取りに来てもらうか、あるいは、会社が処分することの許可・承諾を従業員からもらうというのが最善の方法だと思います。

ただ、従業員と連絡がつかないような場合には、会社が保管しておくことになります。ずっと保管しておくわけにもいきませんから、法的に正しい対応方法としては、会社の施設管理権等に基づく妨害排除請求の訴訟を起こすことになります。

あるいは、退職してから数年間、連絡もよこさず取りにも来ないようであれば、従業員自らが所有権を放棄したと判断される可能性はあります。

ただ、どっちにしても、面倒くさいでしょ?でも、きちんとした対応をしておかないと、その従業員から損害賠償請求される可能性が残ります。そう考えると、やはり、その従業員に取りに来てもらうか、あるいは、会社が処分することの許可・承諾を従業員からもらう、もしくは事前(在籍中)に許可・承諾をもらっておくのがベストでしょう。

このような問題が発生するのは、その従業員が円満退社をしていないときが多いです。そのため、些細なことで大きなトラブル・紛争に発展することもあります。ですから、なおさら慎重な対応が求められます。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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