糖尿病専門医がキッチリ説明して反論。「スーパー糖質制限食はインスリン分泌能力を低下させる」のウソ

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糖尿病やメタボ患者のための食事療法として広く認識されている糖質制限食。糖尿病専門医で自身も二型糖尿病である江部康二さんは「主食を抜いておかずばかり食べる」というスーパー糖質制限食を提唱・実践されていますが、ネットではこの療法に対するマイナスな情報が流されているのも事実です。今回江部さんはメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』で、そんな情報が誤りであることを医学的に証明。「スーパー糖質制限食がインスリン分泌能力を低下させる」という言説に徹底反論しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:糖質・脂質・タンパク質摂取と追加分泌インスリンの関係

糖質・脂質・タンパク質摂取と追加分泌インスリンの関係

今回は、糖質・脂質・タンパク質摂取と追加分泌インスリンの関係を考察してみます。

ネットでは、「スーパー糖質制限食を続けると、膵臓のβ細胞のインスリン分泌能力が低下する」といった無根拠なデマが流れたりするので、キッチリ説明して反論します。

糖質摂取は大量のインスリンを追加分泌させる

血糖値を直接上昇させるのは、糖質だけです。糖質摂取による食後高血糖に対して、追加分泌インスリンが大量に分泌されて、血糖を下げます。

タンパク質摂取は少量のインスリンを追加分泌させる

アミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンはインスリンを分泌させます。

そして、例えば牛肉のタンパク質の成分には、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれています。

正常人が牛サーロインステーキを200g食べても、血糖値に直接影響を与えるのはグリコーゲン分の糖質だけで1g未満なので、3mg/dlも上昇しません。

それなのにインスリンだけが分泌されたら、低血糖になってしまいます。

低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(糖新生による間接的血糖上昇作用あり)も分泌されて、効果が相殺されるからです。

すなわち、ロイシン、アルギニン、リジンが含まれているタンパク質を食べると、追加分泌のインスリンが少量ながら分泌されるということです。

このようにスーパー糖質制限食でも、少量の追加分泌インスリンは出ています。

つまり、野菜もなしの糖質ゼロ食でも、タンパク質摂取分の追加分泌インスリンは出るということです。

脂質摂取はインスリンを分泌させない

脂質摂取は、血糖値を上げないし、インスリン追加分泌もゼロです。

基礎分泌インスリン

基礎分泌インスリンは、スーパー糖質制限食でも糖質ゼロ食でも、24時間常に出続けていますので膵臓のβ細胞はずっと働き続けているわけです。

考察

このように、スーパー糖質制限食を継続して実践していても、基礎分泌インスリンは普通に出ています。

またスーパー糖質制限食実践でも、野菜分の糖質が10gくらいはあるので、基礎分泌の2-3倍の追加分泌インスリンは出ます。

そして、タンパク質摂取では、インスリンとグルカゴンが同時に分泌されます。

従って、膵臓のβ細胞が、スーパー糖質制限食実践で休業状態になり過ぎて、インスリン分泌能力が低下するなどというのは無用の心配ということです。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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