元KGBの諜報員が暴露。なぜウクライナ軍はロシア領で快進撃を続けられるのか?

 

「無能さ」がバレて国防相を解任されたショイグ

ウクライナ侵攻がはじまった2022年2月24日まで、大部分の日本国民は、ロシアのことをほとんど知らなかったでしょう。「知ってるロシア人は?」と聞けば、「プーチン!」。「そのほかに?」と聞けば、「シャラポワ」「ザギトワ」など、美人のロシア人アスリートを思い出すぐらい。

もちろん、ロシア通のRPE読者さんのことをいっているのではありません。あくまで普通の、ロシアに全然関心がない人たちの話です。

しかし、ウクライナ侵攻がはじまると、ロシアに注目が集まり、何人かが日本でも知られるようになりました。民間軍事会社ワグネルの創設者、故プリゴジン。プーチン最大の敵、故ナワリヌイ。ショイグ国防相。ゲラシモフ参謀総長などなど。

ショイグさん。この方は、2012年から2024年5月まで、12年間国防相を務めました。今は、安全保障会議書記になっています。

このショイグさん。長年国防相を務めましたが、元々軍人ではないのです。専攻は、建築学でした。1994年、エリツィン大統領の時代に、非常事態相に就任。非常事態省というのは、自然災害とか大きな事故があったときに、救助を行うのです。ショイグは、ロシアで何か災害があると、現場に行って救助活動を指揮していた。それで、「困ったときにはショイグが助けに来てくれる!」と、彼の人気が上がっていったのです。

「政治的野心のない男」と思われていたため、ショイグはプーチンが2000年に大統領になった後も、生き残りました。2012年、ショイグは国防相に就任します。彼は軍人ではないので、ロシア軍内での彼の評判はよくありませんでした。しかし、大きな戦闘がなかったので、国防相としての彼の無能さが目立つことはなく、時は流れていったのです。

ところが2022年2月、ウクライナ戦争がはじまった。3日で終わるはずの、「ウクライナ特別軍事作戦」は、長引くことになりました。

2023年6月には、いわゆる「プリゴジンの乱」が起こった。プリゴジンの要求は、「無能なショイグとゲラシモフ(参謀総長)を首にしろ!」でした。そう、「ロシア軍が苦戦しているのは、無能な国防相と参謀総長のせいだ!」と思われていたのです。

もちろん、根本原因はプーチンなのですが、彼は「責任転嫁の達人」。常に、プーチン自身が非難される状況を回避することに成功してきました。2024年5月、プーチンが5期目に入ったタイミングで、ショイグは国防相を解任されました。そして、彼は安全保障会議書記に就任したのです。

print
いま読まれてます

  • 元KGBの諜報員が暴露。なぜウクライナ軍はロシア領で快進撃を続けられるのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け