「個人の暴走ではなく背後に組織的な指示」との見方も
すでに多くの識者が指摘していますが、公共放送がジャックされるということはあってはならないことであり、もしもこれが有事の際に起こり、デマが放送によって拡散されたならば、大パニックになるはずです。
しかも、中国には「国防動員法」と「国家情報法」という非常に危険な法律があります。前者は、有事に中国人を軍事動員するもので、後者は有事や平時にかかわらず、中国人に中国政府の情報工作活動への協力を義務付けるものです。そして、これらの法律は、海外の中国人にも適用されるのです。
そのため、台湾や尖閣有事などの際に、放送局をジャックして日本在住の中国人に蜂起や日本政府の妨害工作を号令する、という事態すら考えられるわけです。
今回、南京大虐殺や慰安婦、731部隊を持ち出して、日本への批判と憎悪を煽るような発言をしたというのが事実ならば、そのための予行演習だとも考えられます。
静岡大学の楊海英教授も、今回の中国人スタッフの発言は、「個人の暴走ではなく、背後に組織的な指示があっての行為とみるべきだ」「国防動員法が発動された場合、在日中国人の動き方が分かる実例になる」とも述べています。
● 「尖閣は中国領土」NHK国際放送 識者「浸透工作有無、国会追及を」「トップの責任は」
NHKは関連団体を通じて中国人男性に厳重に抗議し、関連団体は男性との契約を解除する方針だといいます。しかし、それで済ませていいはずはなく、国会で取り上げるのはもちろん、この中国人男性の背景をさらに調査すべきでしょう。
NHKのホームページによると、NHKの国際放送には、受信料以外に国から、ラジオ国際放送に9.6億円、テレビ国際放送には26.3億円、合計35.9億円の交付金が拠出されているとのこと(2023年度)。
NHKは国際放送に国から交付金が出ている理由について、「時事問題や国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解、日本の文化などについて正しく外国に伝えることや、海外に住む日本人や日本人旅行者に大規模な事件・事故・災害に関して迅速に伝える役割があり、これらは国益にもなるものです」としています。
国益のために、受信料に加えて国民の税金を投入しているというのです。であるならば、今回の放送で拡散された「誤った事実」について、きちんと再放送で繰り返し訂正すべきでしょう。「不適切な発言があった」とアナウンスするだけでは、失われた国益が回復されるはずもありません。
放送法では、「総務大臣がNHKに対して、放送事項や放送区域などを指定して国際放送を行うよう要請できる」と定められていますから、これは政治の責任でもあります。
この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ









