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竹中平蔵が日本経済にトドメを刺す。トヨタら大企業を支える中小企業の「淘汰」を叫ぶ売国奴の恐ろしさ

先日掲載の記事で、竹中平蔵氏こそが日本の生産性を下げた戦犯と指摘しその論拠を示した元国税調査官で作家の大村大次郎さん。そんな大村さんは今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、竹中氏が主張する「中小企業の淘汰の必要性」がいかに誤謬に満ちたものであるかを解説するとともに、制度やデータの表面しか見ていないと言わざるを得ない竹中氏を「経済オンチ」と厳しく批判しています。

【関連】竹中平蔵の大失策。小泉純一郎の手先となって我が国の「労働生産性」を下げた日本経済の破壊者
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:竹中平蔵が中小企業をつぶそうとしている

またもやらかす竹中平蔵。「中小企業つぶし」で完全破壊される日本経済

このメルマガでも幾たびかご説明したように、竹中平蔵氏というのは日本低迷の大きな原因をつくった人物です。

経済の血液ともいえる「賃金」を下げるという、近代国家ではあり得ないような愚策を講じ、日本の消費、生産力、国際的地位を大幅に低下させたのです。

彼は、代表を務めていたパソナの中抜きや脱税疑惑などその不正的な面が批判されることが多いのですが、彼がもっとも批判されるべきは、その政策なのです。

が、竹中平蔵氏はアメリカの政財界を深いつながりを持っているため、現在でも日本の政治家に影響力を持っています。

そして、彼は最近また不穏なことを口にするようになっているのです。

日本の大切な財産である「中小企業」をめちゃくちゃにしようとしているのです。

中小企業というのは、日本の宝であり日本経済のカナメでもあります。

日本経済というと、トヨタやソニーのような大企業がけん引していると思っている人も多いでしょうが、それは違います。

大企業で言うならば、韓国のサムソン電子や、東芝の白モノ分野を買収した中国の美的集団なども、日本の大企業と肩を並べるくらいに成長してきています。

しかし、中小企業においては、まだ日本の方が圧倒的に上なのです。

そしてトヨタやソニーも日本の優秀な中小企業に支えられているので、世界的な地位を保持できているのです。

たとえば、韓国はサムソン電子などの家電や造船、半導体などもともと日本が得意としてきた分野で、世界シェアを大きく伸ばし、これらの輸出が経済の柱になっています。

しかし、韓国は、日本との国交回復以来、日本との貿易が一度も黒字になったことがないのです。

携帯電話などあれほどシェアを伸ばしているにもかかわらず、です。

韓国は日本の何を輸入しているのかというと、工業製品の土台となる「加工材料」です。

この「加工材料」については、高度な科学技術を要しながら、多岐にわたるものです。

この分野ではまだ韓国は日本に太刀打ちできないのです。

というより、加工材料の日本からの輸入がなければ、韓国経済はやっていけないのです。

韓国が世界中に輸出している工業製品の多くは、加工材料を日本から取り寄せているのです。

そしてこの加工材料をつくる技術は、日本中の中小企業によって培われてきたものなのです。

大企業というのは、資金力さえあればすぐに成長するものです。

大金を投じて設備を整え、外国などから優秀な技術者を高給で雇えばいいからです。

実際、90年代以降の韓国、中国では、大規模な設備投資を行い、高い給料を払って日本人技術者を招くことで急成長して
きました。

が、中小企業というのは、そう素早く成長することはできません。

様々な分野に分かれているので、集中的に設備や人を投じることができないからです。

何万、何十万という優秀な人材が、日本各地の企業で、長年、勤勉に働き蓄積してきた技術が、現在の日本の中小企業の強みであり、日本経済の最大の武器でもあるのです。

この大事な日本の宝である中小企業を、あの竹中平蔵氏がつぶそうとしているのです。

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わずか20年足らずで25%以上も激減している日本の中小企業

竹中氏は最近こういう発言をよくしています。

「日本には中小企業が多すぎる」
「しかし補助金などによって延命されているので淘汰が進まない」
「日本の中小企業は生産性が低く日本全体の生産性を下げている」
「日本の中小企業は大幅につぶすべき」

この発言を聞くだけで、彼が経済学者としていかに愚かかがわかります。

彼は、中小企業の実態に対する認識そのものが誤解だらけなのです。

というのも、日本の中小企業は決して他国に比べて多すぎるものではないし、また補助金で助けられているというのも、大誤解なのです。

竹中氏がいかに表面的な数字しか見ることができていないか、順に説明しましょう。

まず「日本の中小企業が多すぎる」という誤解について、ご説明しましょう。

日本には2016年時点で約359万社以上の企業があり、その99%以上が中小企業です(中小企業白書より)。

竹中氏はこの数字だけを持って「日本は中小企業は多すぎる」と思っているのです。

アメリカの企業数も400万社程度であり、日本はアメリカの3分の1の人口なので、これだけを見ると確かに日本の中小企業は多すぎるように見えます。

しかし中身をちょっと分析すれば決して多くはない、むしろ少ないということがわかるはずです。

というのも日本の中小企業の中には、実質的にフリーランスや個人事業主がかなり含まれるからです。

日本では法人登記が簡単にできるため、フリーランスの人や自分一人や家族だけで事業をしている人も、会社として登記しているケースが非常に多いのです。

だから日本は零細企業の割合が非常に多く、企業全体の80%以上を占めるのです。

その一方で、日本では個人事業者、フリーランスと分類される人の数は非常に少ないのです。

日本で個人事業者として税務申告している人は、わずか180万人しかいないのです。

アメリカでは、個人事業主、フリーランスは、7,000万人いるとされています。

この7,000万人には副業や複数の事業をしている人も含まれていますが、専業の人だけでも4,000万人程度いるとされているのです。

つまり、アメリカでは、中小企業の数はそれほど多くはないけれど、フリーランスの数は日本よりはるかに多いということです。

中小企業とフリーランスの数を合わせれば、日本の10倍以上になるのです。

また最近、日本をGDPで抜いたドイツは、企業数が約350万社、フリーランスが約140万人おり、合わせると500万近くになります。

日本の企業数、フリーランスの合計とほぼ同じか少し多いくらいです。

が、ドイツの人口は日本の7割しかないので、人口比で見るとドイツの方が企業数、フリーランス数はかなり多いのです。

多少のばらつきはありますがほかのヨーロッパ諸国もだいたい同じ傾向であり、日本よりも企業やフリーランスの割合が少ないという国はあまり見当たりません。

さらにお隣の国、韓国の場合は、企業数は約770万社、個人事業者は約550万人です。

日本よりもはるかに多いのです。

総じて言えば、日本の中小企業数は、フリーランスの状況を加味すれば決して多いとは言えず、むしろ先進国の中では少ないのです。

しかも日本の中小企業数は、昨今、急激に減少しています。

1999年には約485万社あったのに、2016年には約359万社になっているのです。

わずか20年足らずで25%以上も激減しているのです。

だから「日本の中小企業は多すぎるので淘汰すべき」というのは、根本の現状認識が間違っており、むしろ日本の中小企業は守らなくてならない状態なのです。

竹中平蔵氏は、相変わらず的外れというか「日本が行くべき道の反対」をすすめる人物なのです。

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延命されているのは中小企業ではなく大企業という現実

次に、竹中平蔵氏の「日本の中小企業は補助金などで優遇され過ぎている」という発言について、その真偽を確認してみましょう。

中小企業の補助金の代表的なものに、雇用調整助成金というものがあります。

これは、ざっくり言えば年間の売上などが下がるなど一定の条件を満たした場合、中小企業では従業員の賃金の3分の2、大企業では賃金の2分の1を助成するという制度です。

助成率において、中小企業の方が大企業よりも優遇されているので、「中小企業が補助金で優遇されている」という論拠になったりしているのです。

またこの雇用調整助成金は、不正受給などがたびたび指摘されています。

竹中平蔵氏も「悪い中小企業支援策」としてこの雇用調整助成金をたびたびやり玉にあげてきたのです。

しかし、この雇用調整助成金というのは、実は中小企業にとってあまり使い勝手のいいものではありません。

条件や手続きが複雑なため、中小企業がすぐに手を出せるものではないのです。

そのため、中小企業よりも大企業の活用率の方が高いのです。

たとえばコロナ禍でどこの企業も苦しかった2020年度では、上場企業の約18%がこの雇用調整助成金を活用していました。

しかし中小企業で雇用調整助成金を活用していたのは1~2%だったのです。

つまりは、実質的に雇用調整助成金は中小企業を救うためのものではなく、大企業のためのものなのです。

現在の日本では、様々な中小企業支援策が講じられ、表向きは中小企業が優遇されているように見えますが、実際は中小企業が本当に助かるような支援策はほとんどないのが現状です。

また政府が景気対策も兼ねて支出する公共事業費やエコ関連費なども、そのほとんどは大企業が享受しています。

公共事業などは、一定以上の規模の企業でないと受注できない仕組みとなっており、ゼネコンなどが受注し利潤の大半を分捕り、実際の仕事は非常に安い報酬で下請け孫請けの中小企業が行なっているのです。

中小企業と大企業ではどちらが国の支援を喰っているかというと、圧倒的に大企業です。

税金の補助を受けて延命されているのは、中小企業ではなく大企業の方なのです。

そういう日本経済の実態をまったく知ろうとせず、ただ制度やデータの上っ面だけを見て、「中小企業は多すぎる」「中小企業は優遇され過ぎている」などと暴言を吐く竹中平蔵氏は、どれだけ経済オンチか、ということなのです。

次回もこの話を掘り下げたいと思います。

(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2024年9月1日号より一部抜粋。全文はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: World Economic Forum from Cologny, Switzerland, CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

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