アートセラピーは「精神的健康にはあまり効果がないかもしれない」という研究結果

Young,Artist,With,Painting,Brushes,And,Colors.,Craft,Artistic,Background.
 

絵、造形、刺繍などのアートを通じてセラピーを行うアートセラピー。これは精神的健康に関する効果はあるのでしょうか。それを調べた研究を今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』で紹介しています。

視覚的アートセラピーの精神的効果

◎要約:『視覚的アートセラピーは、精神状態や適応に関する尺度について有効である可能性がある』

“アートセラピー”は「芸術(アート)を媒介する精神療法の一形態」(英国アートセラピー協会の定義抜粋)として知られており、日本では「作業療法」の中で実践されている場合が多いと思われます。

今回は、視覚的なアートセラピーの精神的健康に関する効果を調べた研究(メタ・アナリシス)をご紹介します。

アクティブアートセラピーと健康への効果

Active Visual Art Therapy and Health Outcomes
A Systematic Review and Meta-Analysis

視覚的なアートセラピーを内容として含んだ50の研究(4~96歳の2,766人の参加者を含む)が分析の対象となりました。

セラピーの目的は様々で、精神、神経学的、他の身体的障害、予防にまで及び、効果の尺度として抑うつ気分、不安、自尊心、社会適応、生活の質等を用いて評価を行いました。

結果として、対照との比較で改善を認めたのは結果のうち18%でした(対照の1%を除いて、81%では改善を認めませんでした)。

音楽療法等、アートセラピーにも様々なものがありますが、介入をどのように均一にするのか、評価をどのように行うのか等が難しい領域であると考えられます。視覚的アートセラピーに関する結果として希少な研究であると思われました。

image by: Shutterstock.com

もりさわメンタルクリニックこの著者の記事一覧

もりさわメンタルクリニックが発行する精神医学論文に関するマガジンです。最新の論文を主としておりますが、テーマを掘り下げてやや以前の論文を振り返ることもあります。毎日1本の論文を取り上げて要約をお伝えします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 精神医学論文マガジン 』

【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

print
いま読まれてます

  • アートセラピーは「精神的健康にはあまり効果がないかもしれない」という研究結果
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け