片や火の車でコンビニバイトも掛け持ち、片や赤字転落も沖縄旅行するほどの余裕。まったく真逆の経営者2人を紹介するのは、メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者の吉田さんです。はたして、この二人はどちらが経営者として優秀なのでしょうか。
対照的な2人の経営者
同世代だけど、あまりにもタイプの違う2人の経営者の話をします。
(1)
製造業。年間売上高は2000万円未満。従業員4名。慢性赤字状態。4名で2000万円ということは、1人あたりの売上高は500万円しかない。
製造原価や販管費を引くと、1人あたりの賃金は250万円/年出せるかどうか。
そのような中、社長はいい人で、従業員に少しでも高い給料をあげたい一心で、役員報酬を年間120万円(月給10万円)しかもらっていない。
小さいお子さんがいるのに・・・
社長は家計の不足を補うために、昼は自社工場、夜はコンビニのアルバイトをしている。私は止めたのだが、どうしてもと言って聞かない。
結果、いつも寝不足気味で、肌の色は不健康になり、本業の改善もできないままでいる。
「このままでは長続きするはずがありません。自滅しますよ!」と諭しても、ただがむしゃらに昼も夜も働くばかりで、経営に対するビジョンとか戦略とかそんなものが見えてこない。
こう言っては失礼だが、「仕事」ではなく「作業」を延々としている様子。
(2)
美容関係のサービス業。5年前にゼロから独立したばかりだが、現在は年商3億円を超えている。
コロナ禍で打撃を受け、一時的に大赤字に転落したが、その時も人並みの役員報酬はしっかり取り、週2回は休暇を取り、市場調査にもよく出かけて、常にアンテナを張り巡らせていた。
睡眠時間は1日7時間。朝は新聞を読み、夜はお付き合いを断らないタイプ。
コロナで巨額の赤字が出ていたある日、私は、社長からこんな相談を受けた。
「次の連休に、沖縄旅行を計画しているんです。こんな私は、経営者失格でしょうか?」と。
いやいやいや。
私は、目先の資金繰りや単純作業に忙殺されて自滅に向かっていく経営者をたくさん見てきたので、それと正反対のタイプである彼には、どこか将来性を感じていた。
「いや、むしろ良いと思いますよ。たっぷりエンジョイしてきてください」と激励した。
このように普段から「遊び心」「ほどよいユルさ」を持ちあわせているせいか、コロナ明けの2023年からは業績が急回復した。日頃から世の中の変化を観察しているので、新たなサービスを展開することができ、これが当たった。
この記事の著者・吉田猫次郎さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com