賞賛に値する厳しいものとは言えぬ裏金議員への処遇
今回、朝日新聞の報道の直後に実施されたマスコミ各社の全国世論調査では、「裏金議員の原則公認」について「理解できない」が軒並み75%を超え、「理解できる」の10~20%を大きく上回りました。あたしとしては「理解できる」と回答した人が20%もいることに驚きましたが、石破陣営が問題視したのは「理解できない」の75%の内わけでした。野党支持者は当然として、無党派層のほぼ100%が「理解できない」と回答していたのです。
鈍感すぎる石破陣営も、サスガにこれには「まずい」と気づいたようで、大慌てで対応を進めました。石破首相は、森山裕幹事長や小泉進次郎選対委員長と党本部で協議し、6日、新たな対応を発表しました。まず、すでに「党員資格停止」などの処分を受けている議員について「非公認」とすると明らかにしました。これにより「党員資格停止」の処分を受けている下村博文元文科相、西村康稔元経産相、高木毅元国対委員長の3人が「非公認」となる見通しとなりました。
また「党の役職停止」の処分を受けているが国会の政治倫理審査会で説明責任を果たしていないと判断された萩生田光一元政調会長、平沢勝栄元復興相、三ツ林裕己衆議院議員の3人も「非公認」となる見通しとなりました。そして、これらの処分よりも軽い「戒告処分」を受けた議員も、説明責任を十分に果たしていないと判断された場合は「非公認」になると説明しました。
4月に処分を受けなかった他の裏金議員も、地元の県連から公認申請がなかったり、党の情勢調査の結果が厳しかったりすれば公認しない方針だと説明し、石破首相は「結果として相当程度の非公認が生じるが、国民の信頼を得る観点から公認権者として責任をもって最終的に判断する」と述べました。また、たとえ公認したとしても、比例重複は認めないとしました。これによって、国会の政治倫理審査会にちゃんと出席した松野博一前官房長官や武田良太元総務相を始め、最大で37人の現職議員が比例復活の道を閉ざされる見通しとなりました。
これには、ネットでも一部からは「良くやった!」という賞賛の声が挙がりました。でも、本当にこれが賞賛に値する厳しい処分と言えるのでしょうか?
まず、下村博文ら3人は、もともと「党員資格停止」なのですから、党から公認されないのは当たり前です。また「党の役職停止」の処分を受けているが国会の政倫審で説明責任を果たしていないとして「非公認」とされたのは萩生田光一、平沢勝栄、三ツ林裕己の3人だけですが、同じ処分を受けたのに説明責任を果たしていない議員は、他にも堀井学、山谷えり子、橋本聖子、林幹雄、杉田水脈など計16人もいるのです。
しかし、裏金を地元にバラ撒いて選挙の買収資金にしていた堀井学はトットと離党して議員辞職しましたし、山谷えり子や橋本聖子は参議院議員なので2,000万円以上もの裏金をフトコロに入れてたのに今回は関係なし。ま、ここまではいいとして、あたしが解せないのは林幹雄や杉田水脈が「非公認」にならなかったことです。
林幹雄は萩生田光一と同じく「党の役職停止」1年の処分を受けている上、裏金も1,608万円と高額です。杉田水脈の「党の役職停止」は6カ月なので終了しましたが、裏金は1,564万円とやはり高額です。ちなみに今年4月に最も重い「離党勧告」を受けて自民党から追放されたのは、裏金234万円の塩谷立と裏金1,542万円の世耕弘成の2人だけです。林幹雄や杉田水脈は「離党勧告」を受けた世耕弘成よりも多くの裏金をフトコロに入れていたのに「非公認」にすらならないのです。
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