一方、共和党全国委員会が強調したのも、「男らしさ」でした。
とはいえ、民主党のそれとは大きく違います。
「世は男の世界だ(This is a man’s world)」という曲をバックにトランプ氏が登場し、元レスラーが自分のシャツを引き裂き、トランプ氏を古代ローマの「剣闘士」になぞらえました。
民主党は新しい「男らしさ」を訴え、共和党は伝統的な「男らしさ」を強調する。どちらも「男の強さ」の解釈は違えど「女性を守るのは男性」という立場は同じです。
また記事によると、米国人の過半数がハリス氏は女性のために、トランプ氏は男性のための政策を打ち出すとの調査結果があり、トランプ派の10人に7人は「ハリス氏の政策は男性に一層逆風になる」とみているとか。
トランプ支持派は男性が性差別の犠牲者だと考える傾向が強く、ハリス支持者はその逆。米国では男女どちらが有利かの見解の差が拡大していて、男女の政治的嗜好の壁も拡大しているそうです。
メルマガのVol.382で、トランプ氏が副大統領に指名したジェームズ・デイヴィッド・バンス上院議員を取り上げたのを覚えていますか。
バンス氏は「なぜ、ラストベルトがトランプ現象の震源地になったか?」がわかる本として、世界的ベストセラーになった『ヒルビリーエレジー』の著者です。
ラストベルトに暮らすアイリッシュ系、スコティッシュ系の労働者階級の白人系アメリカ人には、男らしさの文化が深く根付き、男たちはみな乱暴で、強さを競います。まさに家族を守る「剣闘士」。グラディエーターです。
ひょっとすると、トランプ氏の「男らしさ」も、ラストベルトの人たちを魅了したのかもしれません。
いずれせよ米国の有権者たちは、「私」にとってどちらの候補者がベターか?と選べる政策を、ハリス氏とトランプ氏が具体的に示し、ハリス氏を「我が党の候補者」に選んだ民主党、トランプ氏を「我が党の候補者」に選んだ共和党、各々が団結して支持を訴える選挙選を戦っている。
この極めて当たり前のことが、日本ではできていません。
自民党の政治家たちは、「我が党の総裁」に石破氏を選んだはずです。なのに党として団結してるとは、到底思えないことだらけです。
石破氏も石破氏で、これまで訴えてきた「自分が総理になった暁政策」ではなく、「党内基盤」という言語明瞭意味不明の政策を重んじている。
しかも、メディはこぞって「党内事情」ばかりと報じている。
おまけに「自分の言葉で話す」と豪語する総理大臣=石破氏は、国会の代表質問で「文書」を読み上げている。
日本人にとって政治とは何なのか? 海の向こうでは「女性の権利」が叫ばれていますが、日本で暮らす「私」の権利とは何なのでしょうか。
みなさんのご意見も、お聞かせください。
この記事の著者・河合薫さんのメルマガ
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