アメリカ大統領選に向けて、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領と、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領が激しい一騎打ちを繰り広げています。もしハリス氏が勝利すれば、アメリカ初の女性大統領として歴史に名を刻むことになりますが、彼女の掲げる増税政策が多くの注目を集めています。アメリカ生活に関するお役立ち情報をお伝えする「アメスマのアメリカ生活情報メルマガ」では、ハリス氏の掲げる増税政策がアメリカ経済や生活にどのような影響を与えるか、税制面から分析しています。
この記事の著者・アメスマさんのメルマガ
初月無料で読む
ハリス氏が大統領になったら配当金や含み益にも課税?
8月終わりに現職大統領のバイデン氏が次の大統領選挙に出馬しないことが表明され、民主党の候補は副大統領のカマラハリス氏となりました。もし大統領になればヒラリークリントンも成し得なかった女性初の大統領ということで、今後の展開が注目されていますが、私が大統領選挙で気にしているのは税金関連の法案のみと言っても過言ではありません笑。他のことは大きくは生活に影響が出ませんが、税金は個人法人でもすぐに生活と直結する部分なので、彼女がどんな政策を掲げるかをこの税金の観点から見ていきたいと思います。
< https://www.atr.org/5-trillion-list-of-tax-hikes-kamala-harris-just-endorsed/ >
色々なことが記載されているんですが、基本的には増税路線で富裕層への課税強化で中間層を救いましょうという政策を掲げています。富裕層や大企業に課税しようとすればするほど経済活動は小さくなっていきますので、中間層の生活が良くなるかというのは甚だ疑問です。そもそも富裕層は課税強化される場合はあの手この手で税金の支払いを回避しようとしますし、下手するとアメリカから投資マネーが少なくなることを意味しますので、資本主義ど真ん中の国で社会主義みたいなことをやりたいんだなというのが率直な感想です笑。
以下、ハリス氏の増税で大きな論点となるところをご紹介していきます。
・中小企業(主に個人事業主)税率39.6%への引き上げ
→個人事業主などに関わるところで言うと、個人の所得税の最高税率は現在37%ですが、39.6%まで引き上げようとしています。これは高所得サラリーマンも同じなので、GAFAなどテック系大企業やスタートアップでストックオプションもらったりする方にも影響があります。
・法人税率28%への引き上げ
→現在21%の法人税ですが、これを28%まで引き上げたい意向のようです。共産主義国の中国でも25%なので、いよいよどちらが資本主義なのかわからなくなってきますね。EUは21%、アジア平均19.8%という数字と比較するととても高いことがわかります。それに加えてカリフォルニアなど税金が高い地域では州の所得税が9%近くかかるので、実質40%近くて、これだとまともにグローバル競争勝ち抜けないレベルになります。
大企業は税金の低い国にオペレーションを移動させて実際税金をそんなに納めてないことが多いですが、むしろ中小零細企業にとって、辛い増税となりそうです。
・長期キャピタルゲインと配当への課税強化
→長期キャピタルゲインと配当の最高税率を44.6%に引き上げようとしています。現状、長期キャピタルゲインへの課税は15-20%程度で、他の外国諸国と横並びですが、これが44.6%まで上がったらはっきり言ってアメリカの株式市場は終わりですね笑。また、法人の時と同様ですが、連邦と州を合わせたキャピタルゲイン税は多くの州で50%を超え、カリフォルニア州は57.8%、ニュージャージー州は55.3%、オレゴン州は54.5%、ミネソタ州は54.4%、ニューヨーク州は53.4%となるそうです。
納税率が50%を超えると一揆が起きるというのが、歴史的に世界で繰り返されてきたことですが、そのレベルに達しています。
・含み益への課税
→これは議論の真っ最中みたいですが、資産が1億ドルを超える人々の資産の含み益に対して、25%の課税をする考えをお持ちのようです。はっきり言ってこれもやばい法案で、例えば、金融緩和などで株価が一時的に上昇した場合、利益確定していなくても25%の税金が発生することになります。そうすると長期保有して上がれば上がるほど税金は上がりますが、下がった場合に還付があるわけではないので売り圧力がかかり、企業の株価が一向に上がらず投資対象から外れてくる可能性があります。
そうすると税金の安い国への投資や移住が活発になりますので、アメリカ経済は弱くなりますし、こういう法律は最初は富裕層向けに始まるものの、どんどんその水準が一般層に来る傾向にあるので、多くの人にとっては不利益を被ることの方が良いと個人的には思います。
他にも相続に関する課税や、仮想通貨への課税、メディケアの増税など目白押しです。実際に法案が通るかどうかは別問題ですが、ハリス氏が大統領になったらこういった政策の実現に向けて動くことは間違いないので、アメリカ国民が最終的にどう判断して大統領を選ぶのか、今から気になりますね。私は選挙権も持っていないのでただ見ているだけですが、ハリス氏が当選になったら真っ先にこの税金関係の情報収集を行い、個人や会社の資産をどう守るかを考えていくことになると思います。
ただでさえ生活苦しくなっているのに、さらに増税進んでアメリカの暮らしは益々大変になってしまうかもしれないですね、とほほ。
※上記コンテンツは完全にアメスマ社長一個人の見解であり、本メルマガの情報により、読者の皆さまに発生、もしくは誘発されたいかなる損害について、メルマガ発行者、メルマガ配信社及び全ての関係者は一切その責任を負いません。また、本メルマガはいかなるビジネス、金融商品を勧誘するものでも、投資情報を提供するものでもありません。
この記事の著者・アメスマさんのメルマガ
初月無料で読む
image by: Below the Sky / Shutterstock.com