汚物風船への反撃か、それとも自作自演か?平壌に舞った「風船ビラ」の中身

 

さて肝心の「風船ビラ」であるが、正直に言って「全く冴えない、ダサい、陳腐な内容」のビラである。新聞のビラの写真では文字などが判明できないが、研究仲間から写真を反転したカラーのビラの写真を送ってきたのでようやく解読できた。ビラの上部には「自分の腹を満たすのに余念のない金正恩」と、「金正恩」の文字がはっきりと見えるが、北朝鮮では「最高尊厳」である金正恩朝鮮労働党総書記を、呼び捨てにすることはまずありえない。肥満体の金正恩を皮肉る文字だが、今一説得力がない。

またその下の写真は「ブランド品を買い漁る金親子」であるが、北朝鮮の人民も金親子がブランド品を身に着けていることは知っているが、金正恩の高級時計、娘金主愛のフランスのクリスチャンディオール製のコートを着用した写真であるが、これを見た平壌の市民は「何が何だか分からない代物」としか分からないだろう。

その下の写真は「1年で購買可能な食糧比較」で韓国と北朝鮮の「コメとトウモロコシ」の購買量を比較したものであるが、韓国と北朝鮮の一人当たりの国民所得を比べると、北朝鮮は韓国の30分1以下であることは、北朝鮮の住民は既に知っている事実である。まったく、陳腐な説得力のない数値の比較である。韓国の脱北者団体が飛ばすビラは「最高尊厳」を貶すにしても、もっとメリハリのある文言を使うだろう。韓国側が用いたビラかまたは北朝鮮側が用いたのか、いずれにせよその内容は話題になった割にはお粗末なビラである。

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