「自民党は国民を守る」の大ウソ。石破首相が就任早々に“見捨てた”能登の被災者たちの今

 

被災者を放置したままでの「国民を守る」「暮らしを守る」という宣言

さて、全国では石破茂首相の号令による解散総選挙が佳境を迎え、今週末27日の投開票日に向けて、各政党、各陣営がラストスパートに入りました。テレビやラジオやネットでは、自民党を始めとしたお金のある政党のCMが流れ続けています。自民党のCMでは、新総裁になった石破茂首相が、こんなスローガンを力強く訴えています。

自民党はルールを守る。国民を守る。暮らしを守る。未来を守る。日本を守る。

裏金議員を何十人も公認しといて、何が「ルールを守る」だ?…という疑問も持ちつつ、それよりあたしが疑問に感じたのが、能登の被災者をホッタラカシにしたままでの「国民を守る」「暮らしを守る」という宣言でした。

もちろん、このCMは奥能登の被災地にも流れています。半年以上も不便な避難所生活を続け、ようやく仮設住宅に入ることができたのに、わずか1カ月で豪雨災害に遭い、また避難所生活に戻った上、1カ月も放置されたままの人たちの耳に、この石破首相の言葉はどんなふうに聞こえたでしょうか。ちなみに、珠洲市の避難所にいるあたしの知人は「珠洲市民は国民じゃないので暮らしなど守らなくていい、と言ってるように聞こえた」と言っていました。

また、奥能登では仮設住宅の集会所などに期日前投票所が設置されましたが、輪島市で最も浸水被害が大きかった町野町地区の期日前投票所で投票を済ませた地元の人たちは「正直、私らは選挙どころじゃありません」「こんな時に選挙などしてほしくなかった。まだ1年も任期があったのだから任期まで満了してほしかった」などの声が聞かれました。

奥能登に友人や知人がいるあたしとしては、石破首相が本当に「国民を守る」「暮らしを守る」と思っているのなら、まるでコソ泥が警官を見て逃げ出すように解散総選挙など強行せず、まずは予算委員会を開催してほしかったです。そして、能登半島地震と豪雨災害の復興・復旧に向けて、これまでの大震災と同様に補正予算を組んでほしかったです。

1995年の阪神淡路大震災では、発生から約1カ月後に1兆円を超える補正予算が編成されました。2004年の新潟県中越地震では約2カ月後に災害対策としての約1兆3,000億円を含む補正予算が組まれました。2011年の東日本大震災では約1カ月後に4兆円超、2016年の熊本地震では約1カ月後に7,780億円、2018年の北海道地震では約1カ月後に災害対策1,188億円を含む補正予算が編成されました。過去の大震災では、こうして1~2カ月で補正予算が組まれ、これをベースとして、不足分を毎年5,000億円の予備費の中から搬出して来ました。

しかし、今回の能登半島地震では、岸田首相は発生から2週間後に2024年度の予備費を5,000億円増額し、それを災害対策に充てると言い出したのです。そして今回、石破首相は、この予備費を1兆円に増額し、それを災害対策に充てると言い出しました。「金額が同じなら補正予算でも予備費でも同じじゃないか」と言う人がいるかもしれませんが、これはまったく違います。

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