奇抜かつ型破りな企画で一躍天才テレビディレクターとなったテリー伊藤さん。自身もタレントとして多くのメディアに出演され、多くの人から支持を得ています。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、著者で辛口評論家として知られる佐高さんが、友人であるテリー伊藤さんについて語っています。
メディア異人列伝。テリー伊藤
「『噂の真相』に出してもらえるんだったら、こういうインタビューのコーナーじゃなくて、『噂の真相・改造計画!』みたいな、そういうことのほうが味が出るんですよ」
『噂真』の1994年4月号で、テリーはこう言っている。当時すでにテリーは『天才たけしの元気が出るテレビ』や『ねるとん紅鯨団』などをヒットさせて、天才TVディレクターの名をほしいままにしていた。
そのテリーと私が『お笑い創価学会』(光文社)を世に問うたのは2000年である。ベストセラーとなり、コラムニストの山口文憲が『週刊文春』で、「芸風の似た」テリーと私がコンビを結成したと分析してくれた。
「さて、コンビの初舞台のできはどうかというと、なにしろ1人でも口の悪いキャラが、2人がかりでこきおろすのだからたまらない。まず副題で『池田大作ってそんなにエライ?』と挑発するかと思えば、オビでは『聞く耳を持たない人は読まなくても結構です』と1千万学会員にケンカを売る」
売れたけれども反発や圧力は強く、続編をという話にテリーは首をタテに振らず、コンビは1回で解消となった。ただ、光文社の知恵の森文庫に入れることには同意してくれたテリーに感謝している。
そのテリーに「史上最強のサラリーマン人生相談」と銘打たれた拙著『スーツの下で牙を研げ!』(集英社文庫)の解説を頼んだことがある。
冒頭、テリーは私から何度も首を絞められた、とウソをつく。
テリーが匿名の大蔵(現財務)官僚にホンネを吐かせた『お笑い大蔵省極秘情報』(飛鳥新社)で私が批判されているので、私が「だいたいわかっているけれども、お前の口からその名前を聞きたい」と言って首を絞めたというのである。
「私もジャーナリストの端くれ。情報提供者を明かすことはできない」とテリーは抵抗したとして、その後をこう続ける。
「何度も何度も会って首を絞められているうちに、佐高さんは、今では数少ない友人のひとりとなってしまいました(なんと運命的な出会いなんでしょう)」
そんなテリーを、あるとき私は「テリーは甘え上手だなあ」と言ったらしい。それでテリーは私を“非常に鋭い”と思ったのだとか。
テリーの回想を引く。
「かつて、私のことを甘え上手だと言ったのは、昔、つきあっていた彼女ぐらいでした。仕事に疲れたと言いながら、私は彼女の家に泊まり込んだり帰らなかったり、食事を作らせたり、部屋のカギを借りて先に入ったり・・・。その娘に『テリーさんは甘え上手でズルイ』と言われたことがありますが、同性から指摘されたのは初めてです」
官僚はもちろんだが、北朝鮮とか、日本共産党とか、笑いとは遠い存在を「お笑い」のネタにしてしまうテリーのセンスに私は感心している。
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