来夏の参院選で大きく勝つには課題が多すぎる立憲民主党
ただし現状では自民党が118議席(改選51)、公明党が27議席(改選14)で合計で145議席。立憲民主党は社民党と会派を組んでも40議席(改選22、社民党1、無所属1)だ。維新の会が23議席(改選6)、国民民主党は13議席(改選5)、共産党が11議席(改選7)。野党の議席数はともあれ、与党と野党第一党の議席数は離れすぎている。
2024年秋の総選挙で立憲民主党が議席数で躍進したとはいえ、その基盤は脆弱だ。前回に比べて比例区ではわずか7万票を増やしたに過ぎず、小選挙区では147万票を減らしている。この事実から出発したとき、25年参議院選挙で大きく勝つには課題が多すぎる。
国民民主党はなぜ議席を4倍化できたのか。SNSを重視したというが「手取りを増やす」といった細切れ宣伝が若い世代の支持を得ることができたのか。公明党、共産党という伝統的組織政党はなぜ伸びずに敗北したのか。野党には、与党もそうだが、旧来の「あり方」を再検討する時間はあまりにも少ない。
国会で生まれている「大きな変化」
衆議院は参議院とかなり違う。まず議員の数が2倍ほど多く465人。参議院は248人だ。したがって議場が広い。
初日には首班指名選挙が行われた。第1回投票で過半数を獲得した議員がいなかったので決戦投票は、石破茂議員と野田佳彦議員の選択だった。結果は2人の名前を書かなかった無効票が84で、石破茂総理が誕生した。
もし「野党」全体が「野田佳彦」と書いていたなら政権交代が実現していた。議場では「もしかしたら」などの声も聞かれたが、そんな淡い希望はすぐ吹き飛んでしまった。
かりに野田佳彦首相が誕生したとしても、参議院では圧倒的に与党が多いから、予算でも法案でも相当の混乱が生まれることが明らかだ。そして早晩内閣は崩壊しただろう。
この与党の過半数割れ国会の意味は、政治的にいえば、2025年の参議院選挙がこれからの日本政治にとって決定的な方向性を規定することだ。政治学者の御厨貴さんは
実は、自民党は結党以来、このような少数与党政権を経験したことはないんです。
内閣不信任案がいつ可決してもおかしくない、という緊張感のある国会の状況は誰も経験していません。
と語り、「少数与党時代の新秩序」をこう位置付けている。
私には1955年の自由党と日本民主党の「保守合同」によって自民党が結党した時以来となる、日本政治の大きな変化の時を迎えていると思われてなりません。
(『朝日新聞』11月12日付け)
たしかに国会では「大きな変化」が生まれている。予算委員長、法務委員長、憲法審査会会長などを立憲民主党が担当することになった。これまで予算案は自民党の委員長によって、裁決が強行されたこともしばしばだったが、それはできなくなった。
憲法審査会でも改正草案に向けた強引な開催もできないだろう。さらには国際的に注目されている選択的夫婦別姓についても、野党の法務委員長のもとで、25年の通常国会最大の争点に浮上する可能性が高い。
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