9割近い中国人民が日本に対して良くない印象を持っている――そんな世論調査の結果が12月2日に発表され、大きな話題となっています。前年より対日感情が25ポイント近くも悪化した裏には、どのような事情があるのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、ある中国ウォッチャーの見立てを紹介しつつ「悪意あるSNSでの発信」がその原因である可能性を指摘。さらに今現在の中国において、日本を貶めるかのような動画が再生回数を稼げる理由を解説しています。
※ご高齢ということもあり、今年3月からメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の「ニュース分析」コーナーの執筆をスタッフに任せて、自身は「国家論」の連載に集中していた台湾出身の評論家・黄文雄さんが、7月21日に85歳で永眠されました。今後もメルマガは黄さんの思いを継ぐスタッフにより継続されます。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【中国】SNSが中国人の日本憎悪の元凶か
日本の悪口動画が再生回数を稼げる。中国「対日感情悪化」の裏側
● 目立った材料はないのにこの1年で「劇的悪化」した中国人の対日感情、背後にあるものの“正体”
中国人の対日感情が劇的に悪化しているとの報道がありました。どれだけ悪化しているかということについて、以下、報道を一部引用します。
中国人から日本を見て、「良い印象を持っている/どちらかといえば良い印象を持っている」と答えた人は、全体の12.3%。昨年は37.0%だったので、わずか1年のうちに25ポイント近く下がったことになる。
また、中国人から日本を見て、「良くない印象を持っている/どちらかといえば良くない印象を持っている」と答えた人は、全体の87.7%。昨年は62.9%だったので、やはりわずか1年のうちに25ポイント近く上昇したことになる。
● 目立った材料はないのにこの1年で「劇的悪化」した中国人の対日感情、背後にあるものの“正体”
こうなった原因について、日本の様々なメディアが推測していますが、だいたい言っていることはどこも同じです。前出の報道もその原因については、他のメディアと同じことを言っていますので、そこも以下に一部引用します。
中国ウォッチャーとして、推定できることはある。それは、次のような三段論法だ。中国経済がますます悪化している→人々がストレス解消をスマホのSNS動画に求める→日本批判のSNS動画が大量に出回る。
今年6月に蘇州の日本人学校関係者が襲われ、9月には深圳の日本人学校の10歳の邦人児童が刺殺された。この頃には、「日本人学校は対中国スパイ養成学校」といった無茶苦茶なSNS動画が、大量に拡散されていた。仕事にありつけなくてムシャクシャしている失業者が、そうした動画を見て、「反日無罪」のような気持ちを抱いて犯行に及んだ可能性もあるのだ。
● 目立った材料はないのにこの1年で「劇的悪化」した中国人の対日感情、背後にあるものの“正体”
というわけで、対日感情の悪化の裏には悪意あるSNSでの発信が大きく影響しているというのが、多くのメディアの読みです。実際、悪意ある発信をしている中国人インフルエンサーは、日本で多くの迷惑行為をしながら中国人に悪い対日感情を抱くよう煽っています。
例えば、今年8月に起きた靖国神社の石柱に落書きが発見された事件。これは、中国籍の董光明という人物が犯人でした。彼は、
「鉄頭」という名のインフルエンサーで、落書き事件の直後、インターネット上に「鉄頭」名の動画が出回り、落書きする様子が映っていた。
ということです。
● 靖国神社に落書きの実行役か、中国で男を拘束と現地報道 別の恐喝事件関与で
迷惑動画を拡散させた中国人の小学生のような言い訳
12月に報道されたのは、中国人男性が山形県米沢市で帰宅途中の小学女児にカメラを向けて執拗に追いかけたというニュースです。この動画がSNSで拡散されたため、山形県議会でも取り上げられ、県の教育委員会も対策に乗り出しました。動画の撮影者は、やはり中国人インフルエンサーの男性です。
● 【直撃】中国人男性「女の子を追いかけたつもりない」日本で小学生“つけ回し”動画を投稿…県議会でも問題視される事態に 反響受け投稿は削除
この男は、日本全国の市役所や議会に無断で入り、撮影した動画も投稿していました。テレビの取材班がこの男に直撃したという報道があるので、以下、一部引用します。
小学生の女の子を撮影した訳を「日本が安全な社会だとアピールするためです。少なくとも私が暮らしている街では、保護者が必ず毎日同行して登校する。日本の良さを見つけて中国の国民に見せたい」と主張しました。
さらに「わざと尾行したのではなく、たまたま方向が同じだっただけ。悪意はないけど誤解されてしまって、こんな大きな問題になってしまいました」と話し、女の子を追いかけたつもりはないと主張。
動画の撮影者は「悪意はなかったが、やり方は不適切だった。おわびいたします。今後も日本のいいところをアピールするのは変わらない。ただ、撮影方法と法律はしっかり勉強してから、法律違反しない状況でやりたいと思う」と話し、日本での反響を受け、男性は女の子を追いかけた動画をSNSから削除しました。
● 【直撃】中国人男性「女の子を追いかけたつもりない」日本で小学生“つけ回し”動画を投稿…県議会でも問題視される事態に 反響受け投稿は削除
日本のメディアの取材に対しては、知らなかった、悪気はなかった、わざとじゃなかった、と、小学生のような言い訳をしてしらばっくれていますが、目的は明白です。再生回数を稼ぎたいから。今の中国では日本の悪口をネタにした動画なら、何でも再生回数が稼げる状況です。その理由については、様々な見解がありますが、よく聞く理由としては、中国経済の悪化が挙げられています。
経済悪化の不満を政府に向けないよう、日本を悪者にして、中国人民の溜飲を下げさせる、というわけです。中国人の対日感情が悪くなるのは別に構いませんが、日本に来て迷惑行為をしていながら、何か偉大なことを成し遂げた英雄のように振る舞うのはどうかと思います。
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※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2024年12月11日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
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