「ピエロが風船を膨らませているのを見ているようだ」
ウォール街の多くの専門家は、来年も株式市場の上昇が続くと予測している。
現在、S&P500指数は6,075ポイントに達しているのだが、モルガン・スタンレーは6,500ポイントに到達すると予測。強気シナリオでは7,400ポイントの可能性も見ている。ゴールドマン・サックスは、2025年末までに6,500ポイントに達すると予想している。
UBSは6,400ポイントまで上昇すると予測し、ウェルズ・ファーゴは6,600ポイントに達する可能性があると予想、バンク・オブ・アメリカは6,666ポイントに到達すると予測、ドイツ銀行は2025年末には7,000ポイントになるとぶち上げている。
なぜ、こんなにも強気なのか。それは、2025年も継続的な経済成長が見られ、FRBが2025年までに金利をさらに引き下げ、それに伴って景気循環株や金利敏感株の株価上昇も期待でき、企業収益が改善するからだという。
本当にそうなればいいが、全体的なトーンを見るとウォール街全体が、けっこうな多幸感(ユーフォリア)で満たされているのがわかる。
ところが、奇妙な動きがある。マーケット・ウォッチ紙は、プロの投資家が次々と今の上昇相場から降りているというのだ。特定の投資家層は先物市場でも「S&P500に対するベットを大幅に縮小している」という。
ローゼンバーグ・リサーチの創設者デビッド・ローゼンバーグも「ピエロが風船を膨らませているのを見ているようだ」といっており、ウォール街の大半のアナリストとは距離を置いている。
極めつけはウォーレン・バフェットで、バフェット指数が200%を超えた今となっては、もはやまったく株式に関心を見せておらず、持ち株を次々と処分して現金比率を高める動きに出ている。
人々がこれほど熱狂し、株式市場に押し寄せて踊り、ウォール街の大半が「来年はもっと上がる」と予測しているのに、バフェットを含むプロの投資家がそれを取りにいかず、むしろ静かに持ち株を売却して株式市場から去っているのだから興味深い。