「Do They Know it’s Christmas?」という1984年の曲がいまだに訴え続ける現実

 

「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」(ルカによる福音書2章14節)。

クリスマスにこの世に生まれたイエス・キリストを祝福として、受け入れる世の中にあって、それを共有できない理由は1つではない。

宗教上、経済上、そして環境的な理由で行き届かない世界は多い。だから「Do They Know it’s Christmas?」(彼・彼女らはクリスマスを知っているのかい?)と歌いたかったのだろう。

イギリスやアイルランドのトップミュージシャンが結集したアフリカの飢餓に向けたチャリティー企画「バンド・エイド」によるクリスマスソングが発表されたのは1984年。

ポップスという音楽のジャンルでは、家族の幸せや恋する思いをその日に託すなどのテーマが多い中で、クリスマスを感じられない不幸に目を向けてのクリスマスソングは30年経た今でも際立った存在だ。

1980年代、アフリカ飢餓をめぐっては、米国でアーティストが結集した「USAフォー・アフリカ」が「We Are The World」(ウィ・アー・ザ・ワールド)を発表し、世界で大ヒットした。

「私たちは一つの世界 私たちは子供たち 私たちは明るい日にできるから 分け与えよう」。

飢餓の中にある人と一緒にあることを表現した内容は高尚ではあるが、少し現実から離れた感覚もある。

それを「Do They Know it’s Christmas?」は「今夜は神に感謝しよう 彼らが味わう苦しみから 君らは免れている」と現実的だ。

私たちは「免れている現実」「得られている幸福」から考えなければならない。

当時のアフリカの飢餓は内戦等の混沌が生み出した結果であり、その混沌は今、ガザやレバノン、シリアで起こっていることである。

その中でクリスマスを感じられるだろうか、誰かの恵みを、祝福を感じられるだろうか。

祈り、そして考える日、それがクリスマスでもある。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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