2.国際化で貧しくなった
CIブームは、おびただしいカタカナの社名と、無国籍のシンボルを生み出した。その結果、日本企業のイメージも無国籍となり、会社の歴史、祖業などを含むアイデンティティは消失した。多額の費用をかけ、コーポレート・アイデンティティのコンセプトやシンボルデザイン、カラー等を決定し、結果としてコーポレート・アイデンティティを失ったのだ。
日本のバブル景気は、国内需要が基本であり、そこに輸出が加わったものだ。国際化によってもたらされたものではない。
バブル崩壊後、国内生産から海外生産に移行したが、結果的に国民は貧しくなり、日本企業の淘汰が進んだ。もし、関税を維持し、国内製造業を保護すれば、日本経済の長期低迷は避けられたのではないか。また、海外資本の流入を規制することが出来れば、日本経済は健全に成長しただろう。
日本が導入した自由貿易、自由競争は、日本の国益を損ない、海外資本に利するものだった。日本経済が強かった時代に戻ることが、今後の成長につながるのではないか。
3.国際化は日本企業弱体化の陰謀
これからの時代は国際化時代であり、企業も国際化を目指さなければならない。世界は広いので、成長する可能性は無限大だ。こんな夢のようなことをマスコミや専門家に乗せられ、闇雲に海外生産、海外市場に突っ込んでいったのである。
しかし、海外進出すれば、今度は現地企業との競争が待っている。政府や業界とのコネもない中、地元に根差した企業に勝つのは容易ではない。
世界が広いと言っても、日本市場で通用する技術を持つ工場は少ない。工賃の低い工場は技術レベルも品質レベルも低いのだ。日本市場のレベルが下がれば、今度は外国企業が直接日本に乗り込んでくる。結果的に、海外生産で継続して儲けることは非常に難しい。
海外市場進出も同様だ。日本の消費者と海外の消費者は嗜好が異なる。日本の商品をそのまま持って行っても現地では売れない。
現地の消費者向けの商品を開発し、販売するビジネスも現地企業との競合が待っている。投資しようにも、信頼できるパートナーを確保するのは難しい。現地に親戚も友人もいない日本人は圧倒的に不利なのだ。
同様に、日本で生産し、日本で販売するビジネスなら日本人、日本企業が有利だ。「国際化」というフレーズは、日本企業を弱体化させる陰謀だったのかもしれない。
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