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4.国際化から国粋化へ

国際化とは、目を外に向ける発想だった。世界は広い。世界は可能性に満ちている。世界に飛び出すべきだ、と。

しかし、グローバリズムが浸透した結果、世界はそれほど広くないことが分かった。本気で生産すれば、供給過剰になってしまう。また、世界に共通のルールは存在しない。フェアな勝負は困難なのだ。

グローバリズムは、貧富の格差を拡大し、一部の人間が富を独占してしまう。むしろ、世界は細分化していい。各国が独自の文化を守ることで、自立した経済が保てるのだ。

今後は、目を内側に向ける時代が来るのではないか。国粋化である。

国粋化というと、国粋主義を思い浮かべる人もいるだろう。近代日本において国粋主義は、欧化主義に対抗して、日本の文化・伝統の独自性を強調・発揚し、これを保守しようとする政治思想で、尊王攘夷思想のような排他的なものだった。

ここで言う「国粋化」は、グローバリズムの経験を経て、その反省の下で日本に目を向けようというものだ。

これまで、単一のグローバル市場を想定していたが、それは幻想だった。むしろ、日本らしさを追求することで、それに共感する世界中の顧客を獲得することが出来る。日本の色を消して世界に出るのではなく、日本の色を取り戻して、日本に顧客を呼び込む発想が重要だ。

日本らしいブランディングを考えれば、日本の歴史を遡り屋号や暖簾紋に行き着くのではないか。無国籍なデザインは、伝統や文化のない国でも可能だ。しかし、日本独自の屋号や暖簾紋は日本企業にしか使えない。我々は胸を張って古い暖簾に掛け直す時代に生きているのだ。

■編集後記「締めの都々逸」

「日本良いとこ 一度はおいで 飯は旨いし 人も良し」

「国粋化を目指せ」と言いながら、やたらと「日本は最高」という人は信用できないとも思います。日本にも改善すべき点は多いし、たゆまぬ努力が必要です。現状に満足していたのでは向上しません。と言って、「米国が理想」「中国は凄い」という意見にも反論を唱えたくなります。

まあ、日本、米国、中国にもそれぞれ良いところと悪いところがあるわけで、その中で日本はかなりましです。日本の良さは、海外に出るとよく分かります。ですから、海外に行くのは良いことです。

でも、仕事は日本を中心にすべきです。そして、お金を国内で回す。海外に持ち出すと日本は貧しくなります。海外投資より国内投資。海外投資を推奨する人は、海外資本からお金をもらっています。米国株を推奨する新NISAは大丈夫でしょうか。(坂口昌章)

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