自死生徒の遺族に「お金が欲しいの?」と言い放つ大学教授。いじめ探偵が呆れる「再調査委員会」設置に至った第三者委の杜撰な調査

 

再調査の基準

再調査の基準は、「文科省いじめ重大事態のガイドライン」に明記されている。理解しやすいように3つのうちいずれかがあれば、再調査が必要だと考えられると思ってもらえばいいだろう。

  1. 調査を取りまとめた後、調査結果に影響を及ぼし得る新しい重要な事実が判明したと地方公共団体の長等が判断した場合
  2. 事前に対象児童生徒・保護者と確認した調査事項又は調査中に新しい重要な事実が判明した事項について、地方公共団体に長等が十分な調査が尽くされていないと判断した場合
  3. 調査組織の構成について、地方公共団体の長等が明らかに公平性・中立性が確保されていないと判断し、かつ、事前に対象児童生徒・保護者に説明していないなどにより対象児童生徒・保護者が調査組織の構成に納得していない場合

私が携った再調査や検証委員会設置のケースでは、第三者委員会がガイドライン違反のみならずいじめ法違反を繰り返して行い、被害側に極めて失礼な態度や不規則発言を繰り返し行い不信感を持たせたり、調査自体が「ありき」の調査で、新証言のみならず既存証言や証拠があっても委員長の求める答えに影響するものは無視するなど到底調査とは言えないもの、調査委員が調査対象となる学校や加害者などとそもそも交流があり利害関係がある場合だ。

例えば、遺書があり、いじめについての事が書いてある状況で、憔悴し悲しんでいるご遺族を前にして、「で?どうしたいの?いじめがあったとして、お金が欲しいの?死人は蘇らないよ」と実際に発言した某大学教授などがいたり、一度も顔をあわせず、意見も聞かずに結果を出した調査委員会もあり、調査とは到底言えない杜撰な結果を恰も調べました体で首長に報告されたケースもある。

こうした場合、地元マスメディア報道がしっかりと報じてくれることで、「さすがにマズイ」となって、首長は再調査に応じるようだが、地元マスメディア報道もコントロールしてくるような自治体になると、もはや手のつけようがないのだ。

いわゆる、時代劇「水戸黄門」に出てくる傍若無人な御代官様が令和の現代にリアルにいるような地方自治体も確かにあるわけだ。しかし、水戸黄門は実際に令和にはいないのだ。

こうなってくると、他のメディアにプレスリリースしたり、文科省などに指導を要請したり様々な対応をしていくが、それでも応じないという首長は確かにいるわけで、結果として被害側はやむなく裁判を起こすということになるわけだ。

再調査委員会で実態がひっくり返るケースはほぼ100%

実際に再調査委員会があり、事態がひっくり返るケースは100%に近い。そもそも高いハードルがある中で、ごく一握りのご遺族や被害側が求めて認められ、再調査を行うわけだから、そうあって欲しいということもあるが。

見方を変えれば、教育委員会などが設置する第三者委員会がきちんとした調査をしていない数と再調査委員会の数は同数に限りなく近いのだという結論になるのではないだろうか。

それだけではない。そもそもハードルが高いことやあまりに誠意のない対応を受けて、やっても無意味、他の事に時間と労力をそそいだ方が有意義だと考え、対策を捨てた人も相当数いるのではないだろうか。いわゆる教育行政や組織の対応に絶望し、まず切り外そうと捨てるわけだ。この被害側が捨てたことを、不満がなくなったと喜ぶ教育関係者も多いようだが、捨てられたのはその場面での人であり、組織であることを忘れてはならない。

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