インドの教授も驚いた、日本の「重度障がい者」とのコミュニケーション方法

 

このセッション後、出席したインドの大学教授は、私が口にした「今日、みなさんにとって新しいコミュニケーションの世界があることに目覚めてほしい」との言葉を受けて、「本当に目覚めました」との反応を示してくれた。

発声してのコミュニケーションが難しい重度障がい者のコミュニケーションの方法と学びへの参加は刺激的な内容だったようだ。

重度障がい者が可能な体の動きからパソコンを操作し言葉に変えて、会話を成立する過程は時間を要する。

「こんにちは」は言葉で話せば1秒ほどだが、一つひとつの言葉を、カーソルを動かして入力して、それを音声に変えるのに、20秒はかかる。

しかし、それが当事者とのコミュニケーションのスピードであり、その時間を一緒に共有するマインドから、「学び」が始まるとの説明は、コミュニケーションを考える上で、新たな視点となったようだ。

セッション後、松井特任教授と話したのは、私達は同じことを話しているということだ。

平和に向けてどんな相手でも対話をすること、パレスチナとイスラエル等の困難な問題に直面しても対話をあきらめないこと。

そこには「情熱」が必要であることを強調した松井特任教授だが、私も学生の質問に応える中で、重度障がい者との対話にも「情熱」が必要であることを説いた。

それは相手を知りたいという気持ち、よりよいコミュニケーションを行うという倫理観も必須ではあるものの、向き合おうという姿勢が、その倫理観や先述の時間への適合などが備わってくる。

松井特任教授と共有した「平和に向けての対話」「障がい者の未来に向けての対話」について、今後、探求を深めていきたい。

そして、インドとの対話も今後、つなげていければと考えている。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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