職人技に目を向けず「明日から稼げる!」が横行する日本企業の未来が“お先真っ暗”なワケ

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日本の中小企業が抱える「後継者がいない問題」は、大きな社会問題となっています。今回、その話題に触れるのは健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中で、大企業と中小企業の冷え切った関係が日本の未来を暗くしていると語っています。

ニッポンの技とスイスの基礎研究

2024年の全国企業倒産件数が、11年ぶりに1万件(前年比15.1%増)を超えたことがわかりました。また、25年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人で、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者が決まっておらず、 現状のままだと約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる可能性が指摘されています。

先週土曜夜、NHKの報道番組が、後継者難による日本の技術の危機を取り上げていたのですが、「なんでこうなる前に国は手を打たなかったのか?」と首をかしげたくなる内容でした。

番組が紹介したのは、人工衛星やマイク、無線などに搭載される「発振器」と呼ばれる部品を作っている企業です。設計から製造までオーダーメイドで、一人の職人さんが顕微鏡をみながら作る“米粒ほど“の製品はまさに職人技。社員は60代と80代のたった2人、社長さんは84歳です。

取引先は名だたる大企業や大学の研究機関などで、この工場がなくなると困るとのことですが、探せど探せど継いでくれる人も会社も見つかりません。手を挙げてくれる企業があっても「これだけの技術を引き継げる人材はいない」と断られてしまうのです。

いったい国も大企業も何をやっていたのか。突然、経営者たちがいっせいに年をとったわけでも、突然、技術を引き継げる人が消えたわけでもない。

1970年には「高齢化社会=人口に占める65歳以上の高齢者割合が7%超」に突入し、94年には「高齢社会=65歳以上14%超」、07年には「超高齢社会=65歳以上21%」になり、今年はついに3人に1人が65歳以上です。

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