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拉致問題の解決など遠い未来の話なのか?金正恩が見極める米トランプ政権や韓国内政の行方

先日掲載の記事で、日本政府が北朝鮮の拉致問題をトランプ政権に委ねる姿勢に対して疑問を呈した、ジャーナリスの有田芳生さん。そもそも北朝鮮には、日本との間に長く横たわるこの問題を収束に導く心づもりがあるのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では有田さんが、最新の米朝関係を紐解きつつ今後の北朝鮮の対応の行方を占っています。

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※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:トランプ政権は北朝鮮拉致問題を解決できるか(下)

トランプ政権は北朝鮮拉致問題を解決できるか

1月23日のFOXニュースでトランプ大統領は「彼(金正恩総書記)と連絡を取る」と語った。2018年に行われたシンガポール首脳会談で、トランプ大統領と金正恩総書記は、お互いの携帯電話番号を交換している。もちろん言葉が通じないから介在者がいての交流だが、それはいまも有効だ。果たして米朝首脳会談は実現するのだろうか。拉致問題の解決にアメリカなどの協力を求めるのはいいが、あくまでも日本政府の仕事である。

拉致被害者家族の高齢化は解決に「時間がない」ことの説明に使われる。石破茂総理の施政方針演説でも「家族会」「救う会」の方針でもそうだ。もう20年も使われてきた表現に「勝負の年」もある。有本恵子さんの父である有本明弘さんは96歳、横田めぐみさんの母である横田早紀江さんは2月4日で89歳だ。早紀江さんは最近も転倒したという。関係者の焦燥感はつのるばかりだ。しかし国際政治や日本政治のなかで日朝問題の優先順位は高くない。それは当事国である北朝鮮でも同じである。

1月22日、23日に最高人民会議が開かれた。1月24日の『労働新聞』は会議を報じたが、代議員ではなくなった金正恩国務委員長は出席していない。ただし施政演説を行うときには出席するので、トランプ政権や韓国に対する方針を語るのではないかと観測があったが、それはなかった。さらに財政相が「われわれの自衛的な力を強化する」と報告したものの、核・ミサイル開発についての言及はなかった。トランプ政権、韓国内政の行方を見極めるためだろう。

米朝関係の変数のなかで日朝関係も位置付けられる。かつて小泉政権のもとで日朝交渉が進み、北朝鮮が拉致を認め、平壌宣言が締結された背景にはアメリカが北朝鮮を「悪の枢軸」と位置付けていたため、そこからの脱出口として日本に接触してきたからだ。

金正恩総書記は、24年12月23日から27日まで開いた朝鮮労働党の拡大中央委員会総会で、アメリカに対して厳しい評価をこう語った。「アメリカは最も反動的な国家であり、米日韓の同盟は、侵略的な核軍事ブロックへと膨張し、大韓民国はアメリカの反共の前哨基地へと転落した」。朝鮮中央テレビは「最も強硬な対応戦略」を取るとも報じた。

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この年末のアメリカ、韓国への厳しい評価は変わっていないにせよ、北朝鮮が方針を定めるのに時間はかからない。それは3月に米韓軍事演習が行われる可能性があるからだ。

24年8月には米韓両軍が朝鮮半島有事を想定した大規模な定例合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(自由の盾)」を韓国で実施した。北朝鮮は「もっとも攻撃的で挑発的」と厳しいコメントをしている。米韓の対応によっては再びミサイル発射もありうる。

24年6月19日に北朝鮮はロシアとの間で「ロ朝戦略的パートナーシップ条約」を結んだ。第4条は「一方が武力侵攻を受け戦争状態に置かれた場合、遅滞なく保有する全ての手段で軍事および他の援助を提供する」と定めており、事実上の「軍事同盟」と理解していい。この同盟ができた以上は北朝鮮の対外対応は米韓関係の推移にとらわれることになる。

トランプ政権は大統領が北朝鮮を「核保有国」と発言したものの、米国家安全保障会議(NSC)報道官は28日は核・ミサイル問題について「1期目で行ったように、トランプ大統領は北朝鮮の完全な非核化を追求する」と表明した。第2次トランプ政権が北朝鮮の非核化を目指す姿勢を示したのは初めてだ。しかしトランプ大統領は―――(本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2025年1月31日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は初月無料の定期購読にご登録の上、1月分のバックナンバーをお求め下さい)

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

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