トランプ、マスク、安倍晋三。平気でデマ情報を拡散したり歴史を改竄する人たちは「何を」守ろうとしているのか?

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7月末に発生しイギリス全土に広がった移民排斥の暴動。ネット上で拡散された悪質なデマがきっかけとされますが、誰がどのような目的を持ちかような情報を拡散させたのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、イーロン・マスク氏も深く関わる暴動の背景を詳しく紹介。その上で、デマや誤った情報を流通させる人々の意図を考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:デマで大衆を扇動する極右たち

狙いはどこにあるのか。デマで大衆を扇動する極右たち

日本ではあまり大きく報じられなかったみたいだけど、7月末から2週間ほど、イギリス各地で極右系の思想を持った人たちによる「反移民」「反イスラム教徒」のデモが頻発し、そのデモが暴動に発展し、イスラム教のモスクや難民申請中の人たちが滞在してる複数のホテルが放火されるという事件に発展した。あたしは現地のニュース映像を観たけど、放火されたホテルの外壁には、ラッカースプレーで「Get out ENGLAND(イギリスから出て行け)」と大きく書かれてた。

また、こうした暴動にありがちな便乗犯罪として、移民やイスラム教とは無関係の商店を襲って商品を強奪したり、一般車両を破壊するなどの犯罪も頻発した。逮捕者は1000人近くに上り、今日までに少なくとも470人以上が起訴された。

その大半は2年から8年の実刑になる見込みだけど、イギリスでは刑務所の過密化が問題になってるため、刑務所の収容能力が確保されるまで、被告らは警察署の留置場に勾留され、一審公判は開始しないという緊急措置が取られた…というわけだけど、どうしてこんな暴動が起こったのかと言うと、ことの発端は、7月29日にイングランド北西部のサウスポートで発生した殺傷事件だった。

この日、サウスポートにある子どもたちの通うダンス教室を、突然、17歳の少年が襲撃した。少年はダンスの練習をしてた子どもたちやインストラクターを、持参した大型のサバイバルナイフで次々と切りつけて行った。6歳から9歳までの女の子3人が刺殺され、他に子ども9人と大人2人が負傷した。

容疑者の少年は、駆けつけた警察官にその場で逮捕された。少年はウェールズの首府カーディフの生まれで、6歳の時に両親とともにサウスポート近郊の町に引っ越して来たという。犯行の動機などはまだ分かっていないが、イギリスではここ数年、青少年がナイフで不特定多数を襲撃する殺傷事件が急増しているそうだ。

で、ここまでは「よくある話」…と言ったら申し訳ないけど、アメリカで頻発してる「青少年による学校などでの銃乱射事件」のイギリス版といった事件だろう。未成年者でも簡単に銃を入手できるアメリカでは「銃」、簡単に銃が入手できないイギリスでは「ナイフ」、使用する武器が違うだけで、不特定多数の学生や子どもなどの弱者を襲撃するという悪質さは酷似してる。

でも今回は、ここから先が違った。この事件のニュースで、容疑者の少年の両親が「アフリカ中部ルワンダの出身」だと報じられると、X(旧ツイッター)などのSNSで「サウスポートの事件の犯人はドーバー海峡をボートで越えて来た違法移民のイスラム教徒だ」というデマが広まったのだ。日本でも、無差別殺傷事件などが起こるたびに「犯人は在日朝鮮人だ」という関東大震災から100年経っても1ミリも進歩してないデマを流すバカがいるけど、子どもでも普通にネットを利用する現代では、こうしたデマは雪玉のように転がりながら大きくなって行く。

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