トランプ、マスク、安倍晋三。平気でデマ情報を拡散したり歴史を改竄する人たちは「何を」守ろうとしているのか?

 

暴動のきっかけとなったデマを最初に流した人物の正体

…そんなわけで、ここで話を極右活動家トミー・ロビンソンに戻すけど、日本でもネトウヨを始め保守系や右翼系の多くは「南京大虐殺はなかった」「従軍慰安婦は存在しない」「在日コリアンは在日特権で優遇されている」などのデマを垂れ流し続けてるけど、これは欧米でも同じこと。ドナルド・トランプは、今も安倍晋三のようにデマを垂れ流し続けてるし、つい先日も「日本の福島は放射能汚染であと3000年は人が立ち入りできない」などと発言した。

そして現在は、あたしの愛するテイラー・スウィフトがトランプを支持してるかのように捏造されたフェイク画像を自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿して問題になってる。テイラーは以前から「反トランプ」なのに、テイラーに似た女性がテイラーのファンを意味する「スウィフティーズ」にトランプへの投票を呼び掛ける画像や、「トランプを支持するスウィフティーズ」というメッセージ入りのTシャツを着た女性の画像などを次々と拡散してる。

そんなドナルド・トランプは、毎月70億円も寄付し続けてくれるイーロン・マスクと相思相愛で「次々と従業員をクビにして企業を黒字化させているマスク氏は素晴らしい経営者だ」と称賛してる。そして、自分が大統領に返り咲いたら、イーロン・マスクを大臣として迎え入れると宣言した。もう完全にイカレてるよ、アメリカの極右は…。

ま、それはそれとして、ネトウヨから極右活動家に至るまで保守系のスタンスの人たちの多くは、その情報が真実でも捏造された嘘でもどうでもいいのだ。重要なのは、自分たちが「敵」と設定して憎悪してる相手に対して、より多くの大衆が憎悪と排除の目を向けるようになることであり、そのための着火剤としての情報は、真実でも嘘でもどうでもいいのだ。だからトミー・ロビンソンは、以前からデマ情報の拡散に余念がなかった。

たとえば、今から6年前の2018年、トミー・ロビンソンは極右ユーチューバーとグルになり、自分がイタリアのローマで黒人男性に襲われている動画を作成し、その動画に「私は旅行先のローマで、アフリカからの違法移民に襲われた」というキャプションを付けて拡散した。この動画はイギリスで260万回も再生され、移民排除の機運の盛り上げに一役買った。

こんなことばかりしてる人物なので、今回のサウスポートの事件でも、どこからか流れて来た「サウスポートの事件の犯人はドーバー海峡をボートで越えて来た違法移民のイスラム教徒だ」というデマに「待ってました!」とばかりに飛び乗って、大衆を暴動へと煽り立てたのだ。

ちなみに、今回のデマを最初に流したのは、イギリス中部に住む55歳の女で、アパレル会社の役員だという。移民の流入によって仕事を奪われた貧困層ではなく、生活には余裕のある人物だ。この女は、すでに8月8日付で警察に逮捕されたけど、17歳の容疑者の名前を捏造し、デマ情報をXで拡散したことを認めたという。

日本でも何年か前に、安倍政権を持ち上げて野党議員に関するデマ情報をセッセと流してた人物が、自民党によるネット工作の内情について告白したことがあった。その記事によると、自民党のネット工作員の多くは50歳以上で生活が安定してる富裕層だという。その告白をした人物自身も、1000万円を超える年収のある50代半ばの男性だった。そして、自分は特に保守的な思想を持ってるわけじゃないけど、ネット上で匿名で他人に嫌がらせをするとストレス発散になるので参加していたと打ち明けた。

今回のイギリスの女が、どんな理由でデマ情報を拡散したのかは分からないけど、移民の流入によって仕事を奪われ、生活が苦しくなって移民を逆恨みしている人物でないことだけは分かった。だから、後は思想的に排外主義者なのか、もしくは日本の自民党のネット工作員と同じく、単なるストレス発散として他者への嫌がらせを繰り返してた人物ということになる。

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