日本人の誰もが「はぁ?」と首を傾げた安倍氏の発言
で、肝心のイギリス各地でのデモは、「容疑者の少年が違法移民だ」という情報自体がデマだったと報道されてからも、収まる様子がなかった。しかし、実際にイギリスで世論調査をしてみると、移民を嫌悪してる国民は約5%ほどで、完全にマイノリティーなのだ。そのため、ヘイトスピーチが連呼される移民排斥デモを見てられなくなったマトモな市民らが、ネット上で連携して、イギリス各地で7日、カウンターデモを行なった。
「NO TO RACISM(人種差別にNO)」などのプラカードを掲げたカウンターデモは数千人規模で、ロンドン北部やブリストル、ニューカッスルなど、移民排斥デモが予想されていた場所で開かれ、参加した市民らは「われわれは難民を歓迎する」と合唱しながら行進した。
日本でも、極右の排外主義者の集団が在日コリアンに対する排斥デモを行なうと、それに対抗したカウンターデモが行なわれるようになって来た。だけど日本の場合は「右翼 VS 左翼」という前時代の化石的な概念から卒業できない中途半端なインテリたちがカウンターデモの中心なので、マトモな一般市民たちが平和的に行なうイギリスのカウンターデモとは乖離してる。その一方で、移民排斥にしろ在日コリアン排斥にしろ、排外主義者のスタンスは欧米でも日本でも酷似してる。
…そんなわけで、さっきもちょっと書いたけど、他民族の排除を掲げる排外主義者にとっては、憎き相手を攻撃する口実などどうでも良いのだ。日本でも在日コリアンに嫌がらせを繰り返してるネトウヨを始めとした排外主義者たちは、攻撃のために掲げてる口実の大半が事実無根のデマなのだ。
たとえば、東京都知事が現在の小池百合子に代わってから、毎年9月1日に行なわれてる関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式典への都知事からの追悼文が、ピタリと廃止された。これは、小池百合子が都知事に初当選した直後、自民党都議の中の極右思想の持ち主が「関東大震災での朝鮮人虐殺は左翼による捏造だ」という内容のトンデモ本と「追悼文を廃止せよ」という申し入れ書を自民党都議の連名で小池百合子に提出したからだと言われてる。
今年7月の東京都知事選では、ヤタラと「私は保守ですから」と自民党支持層へのリップサービスを繰り返してた小池百合子だけど、自民党系の保守派は、この「関東大震災での朝鮮人虐殺は捏造だ」という事実の改竄を始めとした歴史修正が大好きだ。そして、何でも自分の都合に合わせて過去を書き換える「歴史修正」のトップランナーが、自民党の安倍晋三だった。
毎年8月15日に日本武道館で行なわれる「全国戦没者追悼式」で、内閣総理大臣の式辞から「反省」という言葉を排除したのは安倍晋三だ。そして、安倍晋三が「反省」という言葉を排除したことに呼応するかのように、天皇陛下のおことばに「反省」という言葉が使われるようになった。菅義偉も岸田文雄も、安倍晋三に右へ倣えで式辞に「反省」という言葉を使わずに来たけど、今年も岸田文雄の代わりに天皇が「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い」と述べてた。
で、どうして安倍晋三が過去の戦争について「反省」という言葉を排除したのかと言うと、安倍晋三は過去の戦争について反省してない…つーか、反省する必要などないと思ってたからだ。ちょっと古い話だけど、2005年の小泉政権下で、当時、自民党の幹事長代理だった安倍晋三は、月刊誌『Voice』7月号の誌上対談で「ポツダム宣言」について、次のように述べてる。
「ポツダム宣言というのは、アメリカが原子爆弾を二発も落として日本に大変な惨状を与えたあと、『どうだ』とばかり叩きつけたものです」
中学校の「歴史」の授業の「第二次世界大戦」のとこを、居眠りしないでちゃんと聞いてた人なら、この安倍晋三の発言に、誰もが「はぁ?」って首を傾げたと思う。だって、時系列がデタラメだからだ。
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