トランプ、マスク、安倍晋三。平気でデマ情報を拡散したり歴史を改竄する人たちは「何を」守ろうとしているのか?

 

ハリスのディープフェイク動画までリポストした挙げ句逆ギレ

ちなみに、反ヘイト運動団体「ホープ・ノット・ヘイト」の最高責任者のニック・ロウズは「トミー・ロビンソンのアカウントを復活させるということは、イーロン・マスクが彼の運営するXに憎悪に満ちたヘイトスピーチとデマ情報が流れることを許可したということになります」と指摘した。そして、トミー・ロビンソンのアカウントを復活させた1年後の今、今度はイーロン・マスク自身がデマを拡散して問題視された。

ドナルド・トランプの熱烈な支援者で、毎月70億円ずつトランプ陣営に寄付してるイーロン・マスクは、7月27日、ジョー・バイデンに代わって11月のアメリカ大統領選に出馬予定のカマラ・ハリスのディープフェイク動画をリポストしたのだ。これはカマラ・ハリスの実際の声を使用して生成AIで作成したもので、合成音声は次のように発言してる。

「私、カマラ・ハリスは民主党の大統領候補になりました。ジョー・バイデン氏が討論会でついにその老人性痴呆症を露呈したからです」

「私が選ばれたのは女性であり有色人種だからで、究極の多様性による採用です。だから、もしあなたが私を批判するなら、私はあなたが性差別主義者であり人種差別主義者だと主張します」

人並みの判断力のある人なら、カマラ・ハリスがこんなこと言うわけないと思うだろうけど、カマラ・ハリスの実際の声で流れるから、生成AIとか良く分からない人とかは騙されちゃうと思う。日本でも昨年11月、大阪府の25歳の男性が岸田文雄首相のディープフェイク動画を生成AIで作成し、Xに投稿して大問題になったことが記憶に新しい。

今回の場合は、動画を作った人は「カマラ・ハリスの政治広告のパロディー」というコメントを添えて投稿したので問題ないけど、パロディーであると書かずに「これは凄い!」というコメントを添えただけでリポストしたマスクは、自身が定めたXのプラットフォームポリシーに違反した。それなのにマスクは、批判が殺到すると「パロディーはアメリカの文化だ!」などとトンチンカンな開き直りで逃亡した。

自分で「選挙運動に使われる政治広告のパロディーを、パロディーだと明記せずに投稿してはいけない」というルールを作り、全世界のユーザーに押しつけておきながら、自分が真っ先にルールを破り、批判されたら開き直りって、サスガはトランプ支持者だよな(笑)。

で、イーロン・マスクはこんな人物だから、同じ過ちを何度も繰り返す。8月4日に「イギリスでの内戦は避けられない」などと投稿してスターマー首相の報道官から批判されたばかりなのに、5日後の9日、今度は極右政党が流した「デモ隊の逮捕者が増え過ぎたため、逮捕者用の収容キャンプが造られる」という捏造されたデマ情報を、マスクは意気揚々とリポストしたのだ。

以前のツイッター時代の「リツイート」、略して「RT」に当たるリポストは、他から回って来た投稿を自分のフォロワーたちに拡散する操作なので、そのユーザーが何人くらいのフォロワーを持っているかによって、拡散の規模が違って来る。そのため、誰にも迷惑の掛からない投稿をリポストするぶんには何も問題ないけど、誰かが流したデマ情報などを安易にリポストしてしまうと、フォロワー数の多いユーザーの場合は大変なことになる。

で、極右政党が流したデマ情報をホイホイとリポストしちゃったイーロン・マスクのXのフォロワー数は約1億9000万人、日本の人口より遥かに多い。そして、この約1億9000万人にデマ情報を拡散しちゃったマスクは、その後、その情報がデマだったと気づいてリポストを削除したけど、特に謝罪も説明もしていない。だから、今もそのデマ情報を「真実」だと信じたままのフォロワーが数えきれないほどいるわけだけど、マスクにとってそんなことはどうでもいいらしい。

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