自身の政治生命を賭け、北朝鮮による拉致問題解決に取り組んだと言われる故 安倍晋三氏。しかしながらその評価を無批判に受け入れるべきではないようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、「拉致の安倍」という神話がいかに嘘で塗り固められたものであるかを解説。併せて高野さんが安倍氏について「余り頭が良くない」と判断したという、非公式の場での会話内容を公開しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:《講演録》嘘で固められた「拉致の安倍」神話を打ち砕け!
プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
被害者家族を嘘つき呼ばわり。「拉致の安倍」こそが大嘘という真実
平和フォーラムの主催による「平壌宣言22周年・ストックホルム合意10年記念シンポジウム」が10月12日開かれ、朝鮮新報社の金志永(キム・ジヨン)編集局長と私がそれぞれ40分ほどスピーチして討論した。私の「嘘で塗り固められた『拉致の安倍』」と題した発言の要旨に若干の補足を加えて紹介する。
「安倍政治からの脱却」という基本的な課題
9月に与党第一党と野党第一党の党首が交代し、すぐに総選挙。この結果がどうなるかは予測の限りでないが、それで石破政権の命運が推し量られ、早くもゴタゴタが始まって来年夏の参院選で1つの決着を迎えるという、これは一繋がりの政治プロセスである。そこでの基本的な課題は「安倍政治の脱却」で、安倍晋三政権プラスその亜流でしかなかった菅義偉、岸田文雄両政権までの合計約12年の間に瓦礫のようにばら撒かれた悪しき遺産の残骸の数々を綺麗さっぱり片付けることであり、それなしには日本国民は前に進むことができない。
その観点からすると、自民党の総裁選で、安倍政治の礼賛者である高市早苗が選ばれるとすれば最悪の結果で、それを何とか阻止したという点で石破に1点を献上したい。石破は確かに安倍が一番嫌っていた政治家で、その意味で反安倍には違いないが、だからと言って安倍政治の残骸を片付けて新しい道を拓く力があるかどうかは別問題で、そこを見極めないと2点目、3点目は差し上げられない。
今のところ取り組んでいるのは「裏金」問題だけで、それと同じく安倍政治の汚れた面をなす「統一教会」問題は、同教会の集会に37回も出席したという人物を大臣にするなど、取り組みが弱い。ましてや、数々の害悪を残した「アベノミクス」の清算や、安倍が始めて岸田が膨らませた「大軍拡」からの転換は、石破の力では到底出来そうにない。
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