3. 円安進行と輸入コストの上昇
トランプ政権の政策(関税引き上げや減税による米国経済の過熱)がドル高・円安を招くシナリオが考えられます。既に市場では円安傾向が見られ、2025年2月20日時点で1ドル=150円を超える水準が続いています。
円安は輸出企業にとって有利に働く一方、原材料やエネルギーを輸入に依存する中小企業にとってはコスト増を意味します。製造業だけでなく、サービス業や小売業でも、輸入品の価格上昇が利益を圧迫する可能性があります。
コスト増が長期化すれば、中小企業は値上げを検討せざるを得ず、国内市場での競争力低下や消費者の購買力減退による需要減少が懸念されます。また、為替変動リスクへの対応策(ヘッジなど)を導入する余裕がない企業も多く、経営の不安定化が進む可能性があります。
4. 米中対立の激化と間接的影響
トランプ政権が中国への強硬姿勢を強めれば、米中貿易摩擦がさらに激化します。日本の中小企業は、中国市場や中国からの調達に依存している場合も多いため、これが波及効果として影響します。
中国経済の減速が進めば、中国向け輸出や中国企業との取引が減少する中小企業が出てきます。また、中国からの安価な部材調達が難しくなれば、代替調達先を見つけるコストと時間がかかります。
中小企業は、中国依存からの脱却を迫られるものの、新たな調達先(東南アジアなど)の開拓にはリソースが必要です。適応できない企業は競争力を失い、市場からの退出リスクが高まるでしょう。
5. 機会とポジティブな側面
一方で、一部の予測では、日本が米中対立の「漁夫の利」を得て、米国への輸出が増える可能性も指摘されています。
ニッチな技術や高付加価値製品を持つ中小企業は、米国の国内生産回帰政策に伴う需要増を捉えられる可能性があります。特に、半導体や先端素材など、経済安全保障上重要な分野で強みを持つ企業が該当します。
こうした機会を活かすには、技術革新や米国企業とのパートナーシップ強化が必要ですが、中小企業単独では投資余力が不足しがちです。政府の支援策(補助金や海外展開支援)が鍵を握ります。
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