「中国から撤退しろ」という声が叫ばれる今、その振り子が“いつか逆に向く”と思うワケ

 

(参考)トランプ氏の対中ディールとは

トランプ前大統領が再び政権を握った場合、彼の対中ディールは、過去の政策や発言からいくつかの特徴的な方向性が予想されます。

1. 強硬な関税政策の継続と交渉の道具化

トランプ氏は1期目の政権で、中国からの輸入品に対して高関税を課し、これを交渉の武器として活用しました。彼は「アメリカを再び偉大にする」というスローガンのもと、国内産業の保護と貿易赤字の削減を目指し、中国に対して強硬な姿勢を取り続けました。再登板後も、関税を引き上げることで中国に圧力をかけ、譲歩を引き出す戦略を採用する可能性が高いです。

特に、関税を単なる制裁手段としてではなく、中国からの投資や市場開放を引き出すための交渉材料として活用する「条件付き関税」政策が考えられます。

このアプローチでは、関税率を中国の投資額や貿易条件にリンクさせることで、米国の利益を最大化する狙いがあります。

2. 技術覇権争いの激化

トランプ氏は1期目で、中国企業に対する規制を強化し、特にハイテク分野での競争を激化させました。TikTokやHuaweiなどの中国企業を標的にした制裁や規制は、米国の技術的優位性を守るための措置とされました。再登板後も、米国の技術覇権を維持するため、中国の技術産業への圧力を強める可能性があります。

また、サプライチェーンの脱中国化をさらに推進し、米国内での製造業復活を目指す政策が展開される可能性もあります。これにより、米国企業が中国市場への依存を減らし、国内雇用を増やすことを目指すでしょう。

3. 習近平政権との直接交渉

トランプ氏はビジネスマンとしての経験を活かし、個人的な交渉を重視する傾向があります。彼は1期目でも習近平国家主席との直接会談を通じて、貿易戦争の一部緩和を試みました。再登板後も、習近平政権との直接的なディールを模索し、米中関係を再構築する可能性があります。

ただし、この交渉は単なる妥協ではなく、米国の利益を最大化するための厳しい条件を伴うものになると予想されます。 例えば、中国の市場開放や知的財産権の保護、国家補助金の削減などが交渉の焦点となるでしょう。

4. 日本を含む同盟国への影響

トランプ氏の対中政策は、同盟国である日本にも大きな影響を与える可能性があります。彼の「アメリカ第一主義」に基づく政策は、同盟国の利益を必ずしも優先しないため、日本は独自の対中戦略を強化する必要があるでしょう。

結論

トランプ氏の対中ディールは、強硬な関税政策、技術覇権争いの激化、直接交渉を通じた譲歩の引き出しといった要素を含むと予想されます。これらの政策は、米中関係だけでなく、国際経済や同盟国の戦略にも大きな影響を及ぼすでしょう。

編集後記「締めの都々逸」

「振り子も 振りきりゃ 必ず止まる そしたら逆に動き出す」

人がやらないことをやる。それが私のモットーです。「中国なんて危ないよ」と言ってるときに中国に行って、「中国はまだまだ行ける」というときに中国から撤退し、みんなが「中国から撤退しろ」というときに、次の中国戦略を考える。そんな感じでしょうか。

AIに関しては、いち早く確かめて、いち早く飽きて、今になって再開しています。おじいさんがAIを駆使したら若返るのかなあ、なんて考えています。(坂口昌章)

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