4.外資依存の限界
加えて、外資依存の限界も中国と共通する。中国は外資工場を誘致したが、技術や利益は海外にとどまり、自国の力にはならなかった。
トランプが関税でトヨタを米国に呼んでも、技術は日本が握り、米国の競争力は上がらない。日本のチームワーク型産業なら、国内で技術を育て上げるが、トランプの個性頼みではそれが期待できない。
5.関税はイノベーションを生まない
最後に、関税はイノベーションを生まない。中国は補助金で既存産業を守ったが、新技術は別途努力した。トランプも関税で鉄鋼を守れても、半導体やEVをゼロから立ち上げる力はない。日本のボトムアップなら、現場から新しい価値が生まれるが、トップダウンの米国ではその芽が摘まれる。
結論として、トランプの関税政策は中国の中央集権モデルと似て、個性とトップダウンに依存するが、日本のチームワークやボトムアップの強みを欠く。人材育成、中小企業支援、イノベーションの視点がなく、金と関税で製造業を無理やり引っ張る手法は、短期的な成果に終わり、米国の長期的な競争力を損なうだろう。
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■編集後記「締めの都々逸」
「かねの力で 技術を買って 工場立てても 続かねえ」
米国と中国の発想は似ています。金の力で何でもできると思ってる。日本人から見ると、とても幼稚です。
良い職人はカネだけで動くわけではありません。仕事に誇りを持ち、後世に技術を伝えようとする。その積み重ねが完璧な製品を生み出すのです。
トランプも習近平もそこが全く分かっていません。カネで何でもできると思っている。べらぼうめ、って感じです。(坂口昌章)
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