米国と中国のありえないほどの関税の引き上げ応酬は、今後どういう展開になるのでしょうか?メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、香港サウスチャイナモーニングポスト紙の記事を引用しながら米国と中国の関税戦争の意味を語っています。
米中の関税戦争の行方
米国と中国が報復関税の応酬をしています。
4月8日トランプ米大統領は中国製品への課税を104%に引き上げ、翌日には125%に引き上げ、その後、累積税率は145%であるとしました。
中国は米国製品に125%の関税をかけると発表。
先に手を出したのはトランプ大統領。それに対して中国が引かずに対抗した形です。
今後、どのような展開になるのでしょう?
ご紹介するのは香港サウスチャイナモーニングポスト紙の4月12日の記事です。
記事抜粋
「米中の関税戦争は、始まったのと同じくらい早く終わる可能性があるのだろうか?」
双方とも強硬姿勢を崩していないが、交渉の余地を残しているようにも見える、と専門家は指摘する
香港大学の現代中国・世界研究センターの創設者である李程(リー・チェン)氏によると、北京とワシントンは対話の道を進んでおり、協議が再開されれば報復措置は終了する可能性もあるという。
「私たちは表面的なことしか見ていません。ドナルド・トランプは、現時点で中国を敵に回す余裕はないでしょう。トランプが中国訪問に強い関心を示し続けている理由もそこにあります。
トランプ大統領は、中国との交渉の意思を繰り返し表明しており、木曜日には「中国と取引ができるようになりたい」と閣僚に語った。
中国商務省も、北京は協議のテーブルについていると述べたが、同時に「最後まで戦う」と宣言した。
「協議が再開されれば合意はすぐに得られるだろう。そして双方が勝利を主張するだろう」とリー・チェン氏は述べた。
また、米国は中国に対して、米国の農産物やエネルギー製品の輸入拡大、ウクライナ、中東、朝鮮半島に関する中国側のより協力的な姿勢などの譲歩を求める可能性が高いと付け加えた。
ロンドン・キングス・カレッジの中国研究教授であるケリー・ブラウン氏も、北京とワシントンは「いずれは」交渉せざるを得ないだろうと述べた。
同氏は、米国の大幅な関税引き上げは「トランプ氏が中国を交渉のテーブルにつかせるための手段」であるようだと述べた。
解説
主張には譲れるモノと譲れないモノがあります。
トランプ大統領の譲れない主張は「不法移民対策・国境管理」や「郵便投票の是正」などです。
譲れる主張は交渉手段です。
この中国への途方もない関税もその類です。
関税は手段であり、中国から米国に製造業を戻す事が目的です。
野球の投手が内角高めに外れる速球で打者をのけ反らせておいてから、決め球を外角低めに投げるようなものです。
関税率は数字ですからいじりやすいです。手段として使いやすいのでしょう。
安易に使うと大やけどを負うこともあります。世界経済をもリスクに入れた交渉です。
最終的に、北米への製造業回帰と関税率が低くなる結果になることを望むだけです。
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